第8話
次の日、逃げても良いというような話をしていたにもかかわらず送られてきた、ロータスからの婚約の承諾を乞う文書に、アイリスは驚きつつもすぐに受け入れる旨の返事を送る。
「こんなにすぐにお決めになるなんて」
「12〜3歳で婚約して、18のご成婚までに少しずつ教育を受けるのが普通ですから、むしろアイリス様のことをお考えになってのことだと思います」
「そうなんですね。…でもきっと、お断り申し上げてもお怒りにならないんだろうなぁ…」
アイリスの言葉に何を言っているんだという表情をしたホリーに、アイリスは笑いながら、「昨日、言われたんです。逃げるなら今のうちって」とその疑問に答えるように言う。
「優しい方ですよね。…だから私、ロータス様の心の拠り所となれるように、頑張ろうと思って」
「素晴らしいお考えですわ」
「せっかく選んでいただくんだもの、後悔をさせるわけには参りませんから」
ここまで来たら、あとは覚悟を決めるしかないとうなづいたアイリスは、遅れて諸々の報告を受けたのか、珍しく音を立てて走っているらしい両親の足音が近付いてくるのを聞いて、ホリーと顔を見合わせて笑ってしまった。
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