憧れのそうめん

 夏場によく食べられる「そうめん」は皆様は好きですか?

 もう食べ過ぎて見たくもない…そう仰っしゃる方もいれば、幾らでも食べられる、いや苦手だな…そんな方も居ると思われる最早夏の国民食の一つと言えるかもしれません。


 ですが未だにそうめんには種類が有るのはご存知ですか?

 はい。「そうめん」と「手延べそうめん」です。スーパーにも並ぶこの二種類。一緒じゃないの?同じそうめんでしょう?

 いえ、地味に違うのです。どこが大きく違うかと言うと…「太さ」が違うのです。

 太さが違うから何が変わるの?と申されますと「味」がそもそも違います。同じ小麦粉を使った麺で有るのは変わらないのに味が違う。手延べそうめんのがいわゆるそうめん…機械式そうめんより「細い」のです。

 手延べそうめんは昔ながらの人間の手仕事。機械では未だ再現しきれない技を持っています。誇るべき事です。余りに細いので乾燥で切れたりしないように綿実油やごま油をコーティングする手間も有り、「普通」のそうめんよりお高めです。


 ですが普通のそうめんに飽きてきても手延べそうめんは別腹な私のような贅沢な人間も少なくないのではないでしょうか?


 手延べそうめんは昔は朝廷への献上品でした。ですから庶民の口には中々に入りませんでした。

 そのそうめんへの憧れが「切り麦」「ひやむぎ」を生んだと聞きます。

 名前の通り「延べて」はおらず「切って」作るのでうどんよりも細いですが麺は切って作るうどんと同じく四角い断面をしています。味わいも食べてみるとそうめんとは似ても似つかないひやむぎの味わい。これはこれで乙な味です。


 麦を使った朝廷への献上品は平安時代の納税書物にも出てきます。大陸から伝わったであろう揚げパンの原型のような物も食されていたようです。


 小麦粉は米粉よりも古い発明品です。それは麦のが米より柔らかく加工しやすかったからです。

 ですから小麦粉を使った麺類の誕生も時間の問題だったと言えます。


 夏の代表の様なそうめんですが、うろ覚えの知識で恐縮ですが捏ね回し延べてみました。


 普段遣いのそうめんに飽きてきているなら少し高いですが「手延べ」を選んでみてください。古の都人の気分が味わえるかもしれませんよ?

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