第12話言葉歳時記
皆様は色々な言葉をご存知かと思います。
そして日本語には音読みと訓読みがありますし、土地ごとの呼び方ですとか、古今の時代の読みなどもあります。
有名な失われた言葉に
「を」
が、あります。
現代ですと、「を」に「お」の音を当てていますが、昔は違う音だった様です。
ほんの少し目を向けただけで失われた音にも出会います。
安土桃山時代の小話ですと。
公家衆の集まりに陸奥の武将が主の名代で出席します。
その武将が、美しい姫を見て。
「なんとめごい方…」
そう言葉が漏れました。
公家衆は
「めごいとは」
と笑われたそうです。
武将は恥ずかしく思い、身を縮めて居ますと。
「いや、良い言葉をお伝えで。めごい…とは愛ごいとなりますよ。可愛らしい…と言った言葉。これは昔の都言葉です。なんと風流な」
そう一人の公家が言ったそうです。
一座の空気が変わりました。
もっとお国言葉を教えて下され。
武将は面目を保つ事ができました。
今でも言葉を収集してみますと、万葉集等にも今では使わないけれども、なんと風流でありながら鄙びた響きの言葉だろう…
そんな言葉にもまだ出会えます。
ごくごく最近の私事ですが。
春夏秋冬
皆様はこの四字をどう読まれますか?
はるなつあきふゆ。
これが最も素直で良いように思いますが。
人は相手より上手で有りたいとよく思います。
しゅんかしゅうとう。
これが正しい!
そう主張され、満座一斉に笑われた事も御座います。
確かに時と場合によって言葉の選び方が必要になってきます。敬語等もそうですよね?
これは私の若気の至りでして。今ではそれを基に発奮し、今では本ばかり読んでおります。
これもよく耳にすると思います。
蝶番
皆様はどうお読みになりますか?
ちょうつがい
でしょうか。
これは古来から
てふつがい
とも記されていて形が蝶に似ているので蝶番。
ですが最近ですとこの蝶番の漢字を。
丁番
として、読みはちょうばんとしています。
どちらも同じ物を指す言葉です。いつの時代発祥かは分かりませんが 言葉は日々変化していっています。
醤油を正油と書く場合もありますしね。
続きましては。
お手数
これはどう読みますでしょうか?
おてすう
大多数はこう読まれると思います。
ですが
他にも読み方は有ります。
おてかず
とも呼びます。
今では聞き慣れない「おてかず」。ですが時代を逆行していきますと、「おてすう」よりもおてかずが増えていきます。
おてすうは訓と音読み、おてかずは訓と訓読みの組合せ。
音読みは古来大陸から渡ってきた漢字を大陸の「音」で発するので音読み。逆に訓読みはその漢字を大和言葉にする上で発音する音と言われています。
(諸説ある内の一例です)
ですので意味は変わりませんが、大和言葉のおてかずを知っていると、たまに使ってみたくもありますよね?
仕事のお相手が私に「おてかずですが…」と仰ってから色々調べました。
私はおてすうより柔らかく聞こえるおてかずをよく使います。ですが大抵は不審な目を向けられてしまいます。これも時代でしょうか…
そうなりますと、今の時代を生きている私達一人一人が言葉の「方舟」となる時代なのかもしれませんね。
チョベリバ……なう。
流行り言葉も立派な言葉ですからね。
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