第6話トンターマン仕様設定と基礎教育

 国王は、国防大臣とトンタ及び仲間達を国王の部屋に集合させると、国防大臣に命令した。


 「トンターマンにするためには、悪と戦える装備品および戦闘車両等の仕様を設定し、開発する必要がある。 関係大臣と開発技術者を集め至急検討し、開発することを命ずる」


 国王はトンタの方に顔を向けると、尋ねた。

 「トンタ、お前から国防大臣に要望することは何かないか?」


 「国王様、お願いが二つあります」

 「おお、あるのか? 遠慮なく言ってみなさい」

 トンタは実現するのは難しいと思ったが、今、困っていることをお願いした。

 「国王様、一つ目は、私の仲間と会話できるようにして下さい。 二つ目はゴン、ラン、ジョイ、チョロたちを僕と同じように立って歩けるようにしてください。今も立って歩かせていますが、すぐに疲れてしまいます」


 国王は微笑みながらトンタの顔をじっと見て言った。

 「トンタ良くわかった。 お前の希望を私が、今すぐに叶えてあげよう」

 国王はゴン、ラン、ジョイ、チョロ、ピイコのそばに行くと、呪文を唱えながら、それぞれの頭を金色のステッキの握り部分で触れた。

 「トンタ、これで会話および後ろ脚で立つことができるようになったぞ、ほかに希望はないか?」

 「国王様、有り難う御座いました。これで十分です」


 その時、トンタの耳に、脇でゴンとランが話している声が聞こえた。

 「ランちゃん、ご主人と話ができるようになってよかったねー、それに人間と同じように後ろ脚で歩けるなんて最高さ」

 「ゴン君、本当によかったわね」

 トンタは心の中で「ヤッター」と叫んでいた。


 国防大臣たちはすぐに各部門より優秀な技術者を集め、トンタと仲間たちが地球を救出するために、悪と戦える装備品および戦闘車両等を検討し始めた。

 そして、これらの装備品、戦闘車両等の仕様を設定し、国王の承認を受け、二か月で開発を完了することになった。


 その二か月間に、トンタと仲間達は地球救出マンとしての基礎体力および基礎知識を身に着けるための教育、開発している装備と車両などの扱い方の訓練を受けることになった。

 

 基礎教育は一日十時間のハードスケジュールとなった。

 そのカリキュラムは、 朝五時に起床。 五時半~七時まではマラソン、ウエートトレーニング等の基礎体力作り。  七時半~八時半まで朝食。  九時~十三時まで語学、救命医学、政治、経済などの基礎知識。 十三時~十四時まで昼食。 十四時~十八時半まで装備、車両当の扱い方及び敵との戦闘訓練。 十九時から夕食。 二十二時就寝となっていた。


 トンタは国王から激励され、地球を救出することに燃えており、カリキュラムに真剣に向き合い実施していた。仲間たちは基礎体力作りと装備、車両の取扱、戦闘訓練は面白いとこなしていたが、基礎知識については、始めの頃は、わからないと言ってほとんど寝ているか、仲間同士で話をしており、教官に注意され、怒られていたが中頃には真剣に聞くようになった。


 二か月が終わるころには、トンタと仲間達は基礎体力が付き、知識、考え方、態度も著しく良くなり、頼もしくなっていった。

 トンタの身体は服を着ている時は、以前とあまり変わらないが、服を脱ぐと筋肉がついており、仲間に、服を脱ぎ、腕を曲げ筋肉を固くして自慢していた。

「みんな、僕の上腕二頭筋は凄いだろう?」

 ゴン、ラン、ジョイ、チョロも腕を曲げ、顔が赤くなるほど息張って、筋肉を固くして、自分のほうが凄いと騒いでいた。



 優秀な技術者達により二か月で開発された、トンターマン装備品および戦闘車両等の仕様は次の仕様になっていた。



 トンターマン装備品および戦闘車両等の仕様項目と内容


 一、 トンターマン変身スーツ

 ダークブルー色に黒の網目模様、胸に白色の星のマークの入ったボデイスーツを着ると、身長二メートルとなり、片手で四千キログラムの重さを持ち上げられる強い男に変身する。 付属品として身を守る耐火性のマントが付いている。

 仲間達はダークブルーでお尻に白色の星のマークの入ったパンツ着けると片手で二千キログラムの重さを持ち上げられるようになる。


 二、  空飛ぶ腰バンド

 白色のバンドの両腰部に電磁波推進機が付いておりバンドを着けることにより、空を飛ぶことができる。  


 三、  透視サングラス

 切り替えにより宇宙に存在する物質を透視できる。


 四、  レーダーメット  

 レーダー探知機及び通信機の装備されたヘルメット。


 五、  レーザー銃  

 レーザー光線銃。  普段はバンドに装着。


 六、  空飛ぶオートバイ (ピイコ以外支給)

 電磁波推進システム式オートバイ。 ミサイル、レーザー銃等が搭載されている。



 国王は開発されたトンターマン装備と車両に大変満足され、トンタと仲間達を国王の部屋に呼んだ。

 「トンタ、良い装備と車両ができたな、次は、お前がトンターマンになるために、お前自身が強い男にならなければ成らない。 基礎的な体力や知識等については二か月の訓練で見違える程立派になったが、更に、度胸、忍耐を身に着け、トンターマン装備と車両を使いこなせるようにするために、次は実践訓練を行う、よいな!」

 「国王様、有り難うございます」

 トンタは笑顔で言うと、仲間達も笑顔でうなずいていた。


 国王は真剣な顔になり、語気を強めて言った。

 「但し、天国では良い実践訓練を行う場所が無い、お前達にとっては大変辛いこととなるが、実践訓練は同じ黄泉の世界であるが、地獄の国で行うことにした」


 突然、国王様から地獄の国での実践訓練と聞き、トンタの顔色が変わった。

 「エーッ、地獄の国での実践訓練ですか? 地獄の国には鬼と極悪人が住んでおり、殺されるかもしれません」


 「そうだ、恐ろしい所だ。 お前たちが力を合わせ乗り越えろ、そして、立派なトンターマンになり地球を救うのだ」

 国王はトンタと仲間たちを𠮟咤激励し、地獄の国での実践訓練内容を説明した。                    「訓練内容は、トンターマン装備品のトンターマン変身スーツ、空飛ぶバンド、透視サングラスを地獄の国の入り口から千キロメートルの所にある血の池の中央の島に置いておく。 残りの レーダーメット、レーザー銃、空飛ぶオートバイは血の池から二千キロメートルの所にある針の山に置いておく」

 「トンタはゴン、ラン、ジョイ、チョロ、ピイコ達と助け合い、幾多の苦難を乗り越え、装備品等を探し出し、フルに活用し、針の山から一万キロメートル先の地獄の地の果ての門から脱出するのだ!」


 国王はそこまで話すと、テーブルの水差しからコップに水を入れ、一気に飲み、喉を潤してから再度話し始めた。


 「制限時間は三か月である、地獄の国の閻魔大王発行の通行証を渡す。この通行証は明日の午前零時と、それから三か月後の午前零時から一時間だけ地獄の門を開くことができる。 この時間を過ぎると地獄の国から永久に出られなくなる。 くれぐれも通行証を紛失したり、開門時間を忘れてはならないぞ」


 「トンタ、良いな、 何か言うことはないか?」

 「国王様、仲間と助け合って苦難を乗り越え、地球を救出することができるトンターマンになって必ず戻ってきます」

 「頼むぞ、トンタ」


 国王は金色のステッキを高々に上げ、地獄の国の方向を指し叫んだ。

 「トンタ、出発の時間じゃ、地獄の国の門が開くぞ、出発じゃー」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る