第7話 昇格
宿に戻りルカを休ませた俺はステータス画面を眺めていた。
「上位個体を倒すとかなりレベルが上がるんだな」
俺のステータス画面のレベルの欄には68と書かれていた。
「まあ上げるのは【回避力】だよな」
当たり前のように俺は【回避力】にSPを注ぎ込んだ。
「おはようございます…」
するとルカが目を覚ました。
「先程は申し訳ありません…」
「大丈夫だ、無事だったんだから問題はない」
「そう言っていただけると助かります。ところで何をしているのですか?」
「今、レベルが上がったからステータスを上げていたところだよ。ルカもレベルが上がってるだろ?どのくらい上がってるんだ?」
ルカは自分のステータス画面を開くと動かなくなってしまった、口を開きながら。
「どうしたルカ?」
「レベルが…64になっています…」
「まああんだけ倒したし、上位個体もいたからな」
「そうなんですか…。確か最強の冒険者のレベルは55レベルだったような……」
「何か言ったか?」
「いえ、何でもありません。どのステータスを上げれば良いのでしょうか?」
ルカは魔法特化方のステータスにすれば最強になるだろう。
だから上げるのは【魔力量】と【攻撃力】だろう。
あと【体力量】も上げておいたら相手の攻撃を気にせずに魔法を撃てるかもな。
「じゃあ半分を【魔力量】に使って、その半分を【攻撃力】と【体力量】に使えばいいと思う」
「分かりました」
俺の言われた通りにしてくれたルカのステータスはめちゃくちゃ強そうだ。
―――――――――――――――――――――――
【ステータス】 保有SP : 0
〈名前〉 ルカ
〈レベル〉 64
〈称号〉 ――――――
【体力量】280〔+〕
【魔力量】440〔+〕
【攻撃力】280〔+〕
【防御力】120〔+〕
【敏捷性】120〔+〕
【回避力】100〔+〕
【幸運値】0.0 〔+〕
―――――――――――――――――――――――
でもこの世界では決して強くはないのだろう。
どうせ強くなるのなら誰にも負けないくらい強くなる事を目標にしよう。
俺達は先程のゴブリン討伐の依頼の報酬を貰うべくギルドへと向かった。
「百匹以上も倒したんですか…?」
「はい、まあほぼルカの魔法なんですけどね」
「ルカ様は魔法を使えるのですか」
「まあまだ練習中ですけど」
「練習中ですか…。それでは依頼達成の確認が完了しました。ライト様とルカ様はもうランクを上げても問題なさそうですね。それではFランク冒険者からEランク冒険者に昇格です!」
「本当ですか?やったなルカ!」
「はい、嬉しいです」
Eランクになるとかなりの量の依頼を受けることが出来るようになる。
早めに昇格ができて良かった。
「じゃあ今日は昇格祝いでどこか食べに行こうか」
「よろしいのですか?」
「昇格したんだから少しくらい贅沢をしてもいいはずだ。たまには羽を伸ばさないとな」
俺達はギルドの近くにあった少しお洒落な酒場に入った。
「いい匂いだな」
店の中には鼻腔をくすぐるいい香りが漂っていた。
「私なんかがこの様な所にいてもいいのでしょうか」
「大丈夫だ。今日は楽しもう」
俺達はステーキプレートとサラダ、そしてワインを頼んだ。
ワインは店員に勧められて頼んだものだ。
俺、一応未成年だぞ。
酒を飲んでも大丈夫なのだろうか。
「ルカ、俺達酒を飲んでも大丈夫なのか?」
「十五歳から成人ですので大丈夫なはずですけど…」
「そ、そうだよな」
この世界では十五歳から成人なのか。
じゃあ大丈夫だな。
「じゃあ食べるか。いただきます」
「いただきます」
ここの料理はこの世界に来てダントツで美味しかった。
俺達の宿屋の料理もかなり美味かったがここの料理は更に美味かった。
「美味いな…」
「とっても美味しいです」
それから俺達は食事を食べる事に集中して話すことを忘れてしまっていた。
初めて飲むワインは俺が思っていたより飲みやすかった。
ルカの口にも合っていたようで俺とルカはワインを追加で注文をした。
○ 一時間後――
「らいとさま〜」
「ルカ、お前飲み過ぎだ」
ルカは酒がめちゃくちゃ弱かった。
だが俺より酒を飲んでいた。
完全に泥酔していた。
まあ今日くらいは良いか。
「ルカ、帰るぞ」
「は〜い…」
俺はルカに肩を貸し宿に帰った。
ルカをベットに休ませると直ぐに寝てしまった。
「フーッ。俺も寝るか」
俺が寝ようとするとルカが何かを言っているのが聞こえた。
「らいとさま…」
「どうした?」
ルカを見ると熟睡していた。
恐らく寝言だな。
そして俺も眠りについた。
○○○
皆が寝静まった頃、男達はとある村へと足を運んでいた。
「あまり派手にやるなよリーダー」
「黙れリコル。俺は俺のやりたい様にやる」
男達は村へ着くと炎を纏った矢を放った。
それに気付いた一人の男が叫んだ。
「盗賊だー!!」
その一言に住民は焦り、戸惑った。
逃げ惑う者、子を守る為に立ち上がる者、恐怖で腰が抜け立ち上がれない者を男達は圧倒的な武力で鎮静した。
男達に慈悲はない。
あるものは物欲と人を殺める事による快楽だった。
「リーダー!コイツ中々の上玉だぜ」
「ひっ…」
「コイツは高く売れるな。連れて行くぞ」
逃げ遅れた少女が男達に捕らえられ、そして連れ去られる。
男たちが去った後にはたった一つのものしか残らなかった。
それは無慈悲な"死"だけだった――
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