第5話 調査隊の派遣、失踪

 一方、政府より派遣された調査隊は隕石の落下地点である富士の樹海に向かっていた。


「おかしいな。落下地点はもうすぐのはずだよな?」


 調査隊員は不思議そうに呟く。隕石が落ちたはずの場所には、隕石落下の形跡が一切ない。調査隊が進んで行くと、アラームが鳴った。


「GPSだとここが落下ポイントだが、どうなってるんだ?」


 隕石落下ポイントは周辺の木が何本か折れ、倒れていたが、隕石らしきものが見当たらない。


「道中と違って、木が折れているところを見ると、ここが落下ポイントで間違いなさそうなんだが、隕石は何処にも無いじゃないか。」


 激しい地震を起こしたはずの隕石が見当たらないため、隊員達は、周辺の調査を開始した。

 調査を始めて30分程経った時、一人の調査隊員が叫ぶ。


「おい、ここの地面に何か跡が残っているぞ!」


 落下ポイントから、離れた場所の地面に巨大な窪みが二つ出来ていた。


「何だ?この窪みは?まるで足跡みたいだが…」

「足跡にしては大きすぎるが、でも、どう見ても足跡にしか見えないよな。」


 隊員は窪みを放射能測定器で計測してみる。すると、放射能が検出されたのだった。


「放射能反応があったぞ!ここに隕石が落ちたんだ!」


 隊員が少し興奮しながら叫ぶと、


「でも、隕石が無いな。窪みも二つあるし。」


 もう片方の窪みを計測すると、こちらからも放射能が検出された。


(隕石は割れたのかな)


 隊員は何処にも見当たらない隕石を引き続き探すが、やはり何処にもない。


「一体何処に消えたんだ?」


 調査隊が隕石を探し続けていると突然、周囲が暗くなった。


「何だ?何で暗くなった?」


 そう言うと、調査隊員達の姿は消えてしまった。


 調査隊との連絡が途絶え、1日が経過し、政府は捜索隊を派遣する。

 これは、ニュースでも報じられた。


「隕石の調査隊との連絡が途絶えて1日が経ちました。政府は捜索隊を派遣することにしました。調査隊員の皆さんの無事をお祈りします」


 賢也は、このニュースを見るとまた呟いた。


「捜索隊じゃなく、地震被害の復旧が先だって」

「ぼやいたってしょうがないでしょ。片付け、片付け」


 綾乃が賢也に片付けを促す。


「保険会社と連絡ついて、保険金で再築出来るようになったのはいいけど、使えるものと、使えないものの整理は大変だな。」

「文句言わないの」


 毎日の地震で被害にあった家の残骸片付けにうんざりしている賢也は愚痴を言いながら、残骸と奮闘していた。


 翌日のニュースで捜索隊との連絡が途絶えてしまった事が報じられ、日本中が何か異常事態が起きていると騒然とするのだった…

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