第2話 隕石落ちる?

翌日、会社の昼休みにVRMMOのフレンドであり、会社の後輩でもある優と昨日のボス戦について語った。


「賢也さん、昨日は本当に凄かったですよ!ボスの攻撃ほとんど躱してましたね。」

「ゲームの中だけだけどね。あんな動き出来るのは。Aglかなり上げてるから回避力は抜群だからな、俺。リアルでは頭で考えてもあんな風に動けないよ。」

「でも、あんな動きはリアルでする時ないですよね」

「確かに」

「センさんもボスの攻撃に耐えてたから、凄いですよね。」

「タンク役だから、耐えないとね。でも、死神の火力半端なかったな。ユウもノッコも一撃だもん。」

「私は回復力高めにするためにInt上げてるんで、耐久力低いですから。ノッコさんもIntばかり上げてるって言ってました」

「今日は何しようかな。ラスボス倒したけど、レアアイテムはドロップしなかったから、またチャレンジしようかな」

「今日もですか!?私も一緒に行ってもいいですか?今度は死なないように頑張ります」


 二人で談笑していると、同僚の斎藤が近付いてきた。


「よう、賢也。お前達も昨日のニュースの話してるのか?」

「ニュース?俺達は昨日のゲームの話だけど。斎藤、お前もやらないか?」

「いや、ゲームなんかより、ニュースだろ!」

「何をそんなに興奮してるんだよ。優ちゃんは知ってる?」

「すみません。私もニュース見てないです。」

「明智、お前もか…。お前らゲームばかりじゃなくて、ニュース見ろよな。」


 ゲームばかりの二人に呆れながら、スマホの画面を二人に見せた。


「隕石が地球に近付いて来てるんだよ!」


 スマホには『隕石が地球に急接近!。地球に直撃するか?』という見出しのページが表示されていた。


「へぇ、隕石が近付いてるのか。でも、専門家の見解は、地球と月の間を抜けて行くって書いてるじゃないか。大丈夫だろ。そんなに興奮しなくてもいいんじゃないか?」


 賢也は自分の携帯で検索した隕石接近のニュースを見て言った。


「俺の聞いたニュースは、地球に落ちるかもって言ってるぜ。専門家の意見なんか色々あって、どれを信じたらいいか分からないだろ。もし、落ちて来たらどうするんだよ!」

「隕石が落ちてきたら、地球って大丈夫なんですか?」


 優が不安そうな顔で尋ねた。


「落ちたら無事じゃすまないよな」

「だから、さっきから言ってるんじゃないか」


 興奮気味に言う斎藤を横目に携帯で最新ニュースを検索する。最新ニュースを見ると、隕石は今日の15時に地球に再接近すると報じられていた。


「今日の15時に再接近して、離れて行くんだって。大丈夫じゃん」


 昼休みが終わりのチャイムが鳴り響く。


「さぁ、昼休みも終わり。仕事、仕事!」


 そう言うと、賢也は仕事を再開するのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る