カノジョハダァレ?

朝方、まだ日が上る前でございました。

急に厠へ行きたくなり目が覚めたのですが、居間の方から


「お母さん」


と若い女性の声で呼ばれたのです。咄嗟に


「はい」


と返事をしてしまいました。


呼ばれた方を見ると、肩まで短くした髪の女の子がいたのです。



ただ、玄関の扉には鍵がかかっていましたし、末の孫娘は家を出て一人暮らしをしていますから、いないはずなのです。


不思議に思いもう一度居間の方を見ると、そこには誰もおりませんでした。


末の孫娘と背格好の似た女の子が確かにいたはずなのに。



虫の知らせなのでしょうか?妙な不安感がありました。


孫娘達は私を「お母さん」と呼びません。娘も息子も私を「ばあちゃん」と呼びます。もしかしたら、娘を呼んだのかもしれません。



この事は、二番目の孫娘に話しました。



その後、私は体調を崩して暫く起きられませんでした。







扉はあの世とこの世の境界線と言いますが、あの時返事をしなければ良かったのかもしれません。







本当に、誰だったのでしょうね。




居間の入り口に立っていた女の子は。

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