7.試験と初恋はエビマヨ味
今日はついに前期試験の日! なんだけど、朝から厨房に立つ私。はい! エビマヨ作ってまーす!
普段授業を聞いてて、しっかりと復習さえしていれば、今回の前期試験の範囲的には短いので大丈夫! まぁ、座学も
ということで、アリスとお約束のエビマヨを作ってる最中。多分、試験終わったら涼香の性格上、即行動に移すはずなので、エビマヨ弁当にして応援しようと思います!
アルバのエビは、魔物の『シュリング』だけ。英語の『シュリンプ』みたいだよね――多分英語から取ってると思うけど。大きさや色によって名前がちがうシュリングの、今日使うのは『レッドシュリング』。地球のブラックタイガーと同じくらいの大きさで、真っ赤な体に左だけ体と同じくらい大きな
今やってるのは、そのシュリングの
おっと、全部剥き終わったわ。左の鋏は、次回エビしんじょを作る時にでも使うとして――地球のエビより
脱線したわ。シュリングいっぱいあるから、大きめのスプーン一杯の清酒と擦った
このエビマヨと、殿下お気に入りの甘い玉子焼き、
空間収納に入れて、試験を受けに学院へ行く準備をする。時間経過ないのって便利よね。ご飯なんて出来立てで保存できるから、温め直さなくても美味しいし。
準備ができたところに――あぁ、やっぱり来たんですね。迎えに来てくれた殿下にお弁当を渡し、一緒に学院まで馬車に揺られた。
今日の前期試験は、座学の筆記試験のみ。実技は後期試験に入るから、冬季休みの前になる。年明けは三年次の卒業試験のみのため、のんびりお料理しながら授業の日だけ勉強しに行く感じだ。
試験用の割り当てられた座学の教室に入ると、沈んだ空気が窓際から漂っていた。大丈夫かな・・・・・・。
「おはようアリス」
声につられて顔を上げたアリスは・・・・・・浮かない顔ね。大丈夫じゃないみたい。
「おぉおはっおはようございます! レティシアさま〜。助けてください!!」
泣きながら凄い勢いで引っ付かれた。あぶな! バランス崩すところだったわ。それにしても、涼ちゃんって私より勉強出来たのに、アリスはできないのかな?
よっぽど不思議そうな顔をしてたのか、アリスは泣きながら怒る器用なことをしてきた。
「もう! こっちの勉強とあっちの勉強はちがうんだから! 全然わかんないよ〜・・・・・・追試なんて受けたくないぃぃ!」
あぁ、確かに今日の試験は
「今日がんばって、ベルナール様に声かけるんでしょ? エビマヨ弁当作ってきたから、今出来ることをがんばりなさい」
「――!! がんばる!がんばれるわ!! やってみせます!!」
機嫌が良くなったアリスは、そそくさと勉強会でクロエに作ってもらったノートを取り出して、必死の
◆
無事試験が終わり、今はベルナールを見かけたという古本屋のほぼ真向かいにある、アリスの家が経営するアメリス商会の二階に併設されたカフェにいる。さっきまで魂が抜けきったような顔をしていたアリスは、エビマヨ弁当をご機嫌に
私はエビマヨ弁当よりもカフェのメニューが気になってしまい、メニューからデザートを数品頼み、あると思ってなかったコーヒーを頂きながら待っていた――ケーキが来るのと、窓から見えるところに来るだろうメインディッシュを。
前回、アリス達が目撃した時間は、お昼より前だったらしい。今は試験もあって、お昼を少し過ぎたあたり。アリスが見張らせていた商会の人の話では、今日はまだ来ていないらしい。何させてんのよ・・・・・・。
もしかしたら、今日はもう来ないかもしれない。そんな事を思いながら、来たケーキに
向かいのアリスはエビマヨ弁当をいつの間にか完食してて、知らない間に頼んでたカフェのケーキに手をつけていた。あ、それ! チョコの中からジャムソースが出てきてるじゃん!! 美味しそう!!次、それ頼む!
別のメニューにも良いのないかなぁってメニューに手を伸ばして・・・・・・止まった。固まってる私に気がついたアリスは、私の目線の先を見ると、ガタンッと勢いよく立ち上がった。ここ、二階でよかったね。下の階だと絶対バレてたよ・・・・・・。
そう、なんで二階かと言うと、アリスが「心の準備が!!」って必死だったから。心の準備どころか、お腹の準備が万端だったわ。
「あっわあわわ、わわたし! 行ってくる!!」
「え!? ちょっと作戦・・・・・・」
アリスは何も考えずに、走って階段を降りてった。大丈夫かなぁ。あ、本屋に入っていったわ。
仕方がないので、別のデザートを頼んで待つことにした。あ、さっきアリスが食べてたやつにしようかな。
追加で頼んだケーキを二つ食べ終えて、次は何にするかメニューを見ながらコーヒーを飲んでいると、猛スピードで階段を駆け上がってきたアリスが目に入った。思いの
勢いついたままなのに座る時は全く音がしなかったアリスに驚きつつ、メニューを片付けてもらいながらカップを置いた。どうなったんだろう?
座ってからずっと
五分くらい待ったかな? コーヒーの湯気がすっかり立たなくなった頃、
「貰えた! 貰えたよ!! 連絡先!」
興奮気味に話すアリスにさっき頼んでおいたアイスティーを
「落ち着いた?」
「・・・・・・うん。ごめん」
「ふふ。謝らなくていいから、その嬉しそうに緩む顔の話、聞かせて?」
「うん! えっとね・・・・・・」
アリスの話を聞くと、なんと!
ベルナールの方も、御令嬢にここまで直球で迫られたことがなかったようで、面白い子だなぁと笑いながら友達になって手紙をやりとりするのを了承したらしい。面白いのはいいんだ・・・・・・。
そのあと、いかにベルナールが
帰り際に渡した私が手をつけていなかった
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