3.変わらない幸せ(1)
緊張してたのが嘘みたいに仲良くなって、今アリスの隣に座って授業を受けている。
結果的な話をすると、式前に
そして彼女
おかげで乙女ゲーム主体のラノベが好きになって、「ラノベの世界ならよかったのに」とボヤいていた・・・・・・残念ながら、ここは乙女ゲームの方だわ。
まず、ヒロインの見た目。化粧をしてない顔から
他には、ヒロインが家庭内で
軽く聞いた感じでも色々異なっている為、私たちの結論は、やはりここアルバは『乙女ゲームの素』になった世界であると位置付けた。歴史を勉強すると私たち以外にもアルバに来ている人がいるはずなので、こちらから地球へ行ってる人もいるのではと。向こうに行った人がゲームを作るのも出来るのでは?と考えた。多少時間軸がズレててもおかしくないし・・・・・・だって、私は社会人になり、アラサーに足を踏み入れて
考えたって仕方がないから、その辺は置いといて。問題は、素になったけど実際にゲームが始まるのか。
「で? この世界についてはなんとなくわかったけど・・・・・・そろそろ、ゲームの内容も聞かせて?」
「そーだね。今、みんな他の授業でいないし――でも、このクッキーだけ食べさせて!!
ピシッと音が鳴りそうなほど綺麗に
この学院は所属科以外の授業も受けれて、受講科目が無い時間は休憩。日本で言うと大学の授業体制に近いかな。二人の殿下方やアリスの
ちなみに、ジルベールが攻略対象なのをすっかり忘れて話してたら、アリスが驚いてた。うん、私も忘れてた自分に驚いたわ。こんなに、ゲームについて気にしてるのにね・・・・・・。
いつの間にか
嬉しそうなアリスを横目に見つつ、お茶を楽しみながら外の景色を眺めて待つことにした。
「はぁー・・・・・・。やっぱり莉香ちゃんのクッキー好き」
「あはは。ありがと」
前世と変わらない味に満足したのか、半分ほど食べ進めていたクッキーをお茶で流し込むアリス。嬉しそうに
◆◆◆
乙女ゲーム『花舞う国で恋をする』通称『
各攻略対象と共にそれぞれのエピソードをこなしていく中、ヒロインにばかり構うため激高した悪役令嬢のレティシアが魔力暴走を起こす。暴走したレティシアの火魔法は巨大化していき、第二王子を殺しにかかる。バッドエンドの場合はここで第二王子が死亡し、第一王子によって悪政が敷かれる世の中が始まる。ヒロインは悪役令嬢の手助けをしたとして、第一王子によって捨て駒のレティシアと共に処刑される。
ノーマル及び各ハッピーエンドの場合は、各攻略対象と共にレティシアの暴走を止め、第二王子を救う。そして第一王子の
◆◆◆
「――っていう感じ。簡単に言うと、だけどね。ハッピーエンドに
「なるほどね。だから、
「そーだね。でも、今の殿下達の関係見ると――大丈夫なんじゃない? 莉香ちゃんの方がよく知ってると思うよ。性格なんて設定とちがうでしょ?」
「まあ、確かに」
「それに、ゲームでは第一王子が腹黒
「う、うん」
「素になった世界の本物達より、性格いじった方がゲーム的には売れるってことなんじゃないかな」
「なるほど」
「それに・・・・・・」
「何?」
「あの殿下がレティシアを見捨てるなんてしないと思うわ・・・・・・」
「あ、うん。言いたいことはわかる」
二人で整理していくと、色々ゲームとは変わっているのがよくわかる。殿下に対しては、ちょっと・・・・・・いや、かなりの確率で違うのがよくわかるわ。
アリスがいてくれてよかったなって考えながら、紅茶を飲むためにカップへ手を伸ばした。
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