2.ヒロインとゲームスタート?(2)
中庭に着いてすぐ、彼らに振り返って話し出した殿下。
「久しぶりだなディオン。お前の立太子の式典以来か?」
「あぁ、そうだな」
「まさか本当に留学してくるとは・・・・・・」
「俺だって、お前みたいに直ぐに会いに行ける距離じゃないんだ。大事な婚約者とは、出来るだけ側に居たいだろ? で、彼女が俺に隠してた婚約者殿だろ?」
確か半年前に、殿下はネモフィルに公務で行っていた。立太子の式典に行っていたのね。私が殿下にあの笑顔でお留守番を言われた時ね・・・・・・というか、仲良し? 他の人がいるのに、素が出てる。
「あぁ、
「いや、確かに綺麗だけど! こいつはないだろう・・・・・・ったく。初めましてだね? 俺は、ディオン・ネル・マラン。この子は、俺の愛しの婚約者のアメリー。隣は、彼女の
殿下を
とりあえず、学院では一応身分差は
「レティシア・ロゼ・ペッシャールです。お目にかかれて嬉しいです」
右側は
あ、学院や学園は制服がなく、普段着に学院・学園の
私に
とりあえず、アリスが間違いなく従姉だと思うけど、そうじゃなくても同じ日本から来た子のお家の人が、普通に挨拶を返してくれる人で良かったわ。
「アメリー・ロゼ・タイヤールです。こちらは、
「アリス・ロゼ・タイヤールです」
「そういえば――タイヤール伯爵家の御令嬢をお前が婚約者にしたいからって、
「あぁ。ただ隣国に嫁ぐには問題ないが、相手が俺って言う王族っていうか・・・・・・王太子だしな」
そういえば、西大陸の王族に嫁ぐ場合は、どの国でも侯爵家以上となっている。魔物と共に生きているこの世界では、魔法が使える人が王侯貴族になった歴史があった為、上位になればなるほど強い。国を守るために、賢王と呼ばれた七代前の王様が西大陸王議会で結ばれた協定だ。当時は下位も関係なく、貴族なら王族と結婚できたけど、数代魔力が薄まって領地を守れないものが続出してしまった。そのために、上位には領地を守る責任と義務が課された。この時、各国の公爵家が正式に領地の守護者として配置された――らしい。
「まあ、元々ここ数年の
「なら、問題ないだろ? いやーそれにしても! 絵姿しか見てなかったけど、ペッシャール嬢は本当に美しいね!」
「待て! 絵姿ってなんだ!? 聞いてないぞ!!」
「仕方がないだろう? お前が隠すから・・・・・・」
仲良さそうに二人で話し出した男性陣は放っておいて、改めてアリス達の方に向き直った。ついでに、殿下の手をさりげなく腰から離してもらう。気づいてチラッと見られたけど、アリス達の方を指すと
「改めて、初めましてですね。学院では身分関係なく先輩後輩、また同期生としてよろしくお願いします」
「「こちらこそ、よろしくお願いします」」
「アメリーさんは、在学生の席へディオン殿下と行かれるのですか?」
「えぇ。本当はアリスを送ってからの予定でしたが、この子ったら家すら先に出てしまって」
「アリスさんさえよければ、先程お話したように私と新入生席へご一緒してもよろしいかしら?」
「よろしいのですか?」
「えぇ。私も、リオネル殿下とここで別れて入場になるので。それに、学院に来てすぐにこんな可愛らしい先輩とお友達が出来てしまうなんて、とても嬉しいのです」
ニコッと微笑むと、アメリーから
妹の話によると、お
殿下達は雑談が終わったのか、声をかけてきた。
「レティ、俺たちは先に行くが・・・・・・」
「私は、こちらのアリスさんと新入生席へ向かいます」
「じゃあまた後で」
殿下は「ね?」っとウィンクしながら私の頭を撫で、ディオン殿下とアメリーさんを連れて会場へ向かっていった。
リオネル殿下の方がチャラ男枠取りそうだななんて思いながら、手を振って見送った。あ、あれはレティシア限定だったか。
「あの・・・・・・」
彼らが見えなくなってから声をかけてきた、乙女ゲームのヒロインであるアリス。ここからゲームが始まるのか、もう
そして気になるのは、先程の日本語と『ニカ』。新入生入場まで、まだ時間はある。この奥まった中庭には、私たち二人だけ。
春のうららかな日差しの中、学院と言う新生活とは別の緊張感が二人の間に漂いはじめた。あ、お腹痛くなってきた・・・・・・誰か代わってー・・・・・・。
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