第5話 人生、努力忍耐したくない!
え~、人生の究極の目標は容易に揺るがぬ倫理観を確立すること!などと述べました。
あなたが同意してくれるかどうかは分かりませんが、私は現代の人にはこの考えが足りないなぁ…と思うんですよ。
それが証拠に、例えば会社や企業などではよく「社員研修」とかをやって、ビジネスマナーや自己啓発、リーダーシップについて勉強させてますね。会社員の倫理を教えるために。
私の勤めていたところでもやってました。
…ところが前回記した通り、私は説教されるのが大嫌いな性分、苦痛以外の何ものでもなかったですね。
何しろ子供の頃から「努力」とか「忍耐」などという言葉が嫌い。…研修なんざ有り難がる訳がありません。
…またその研修の内容がつまらないのよ!
それこそ自己啓発本をもとに、ビジネスマンとして成功するためにはどうしろこうしろとか、成功者の言葉や事例に習ってどうたらこうたらとかねぇ。
リーダーとしての資質は何たらとか本当につまらない。
…だって実際リーダーになって成功した人ってのは、リーダーになるための学習をしてなったのじゃなくて、リーダーの素質や天性があったからそうなったんですよ。
その素質や天性ってのは、はっきり言えば「人徳と人望」です。…そんなのテキストを見て読んでメモしたからといって身につくもんじゃないですから。
リーダーとなる人に必要な資質は、「強い意志と行動力」とか、全く身もフタもないことが書いてあるし…。
そんな研修を受けつつ、私が悟ったことは、
「なるほど、研修業者が請けて行う研修ってのは、社員じゃなくて社長を満足させるためにやる商売なんだ!」
ということです。…全く社員にとっては迷惑な話ですね。
さて、そんな研修を受けさせられた後、私は「課長」職を拝命しました。
部下は正社員と時給(パート)社員合わせて13名、現場業務セクションです。
もともと私自身は課長になりたかった訳じゃなく、会社が勝手に指名したことですから、ハナから私は出来るだけ責任感をもたないでやろうと思いました。
なので、最初にまず部下に言いました。
「会社の人事で、君たちは私の部下になったのだから、君たちの仕事というのはまずこの私を助けることです!…したがって、このセクションの合言葉は、"みんなで支える森緒課長"ということでよろしくです ! 」
こうして会社から受けてるリーダーシップ研修の内容を全く無視した態の私には、もちろん戸惑う部下も出てブツクサ言いたげな顔もありました。
「大丈夫だよ!…こう宣言した以上、私はちゃんと君たちを頼るし、君たちの力をあてにしてやって行くから!……だけどどうしても私を助けるのは無理、嫌と思う人はこの先たぶん上手くやって行けないから、転職を考えてみたらどうかな?」
私はさらにこう言って黙らせました。
…結果から言うと、部下たちは私のために良く働いてくれました。…特に女性社員は正社員、時給社員に関わらず一生懸命働きました。はっきり言って男性社員より断然頼りになりました。
「凄いなぁ、女性陣は頼りになるよ~!ありがとうありがとう !! 」
私がそう言って男性陣を横目でチラッと見ると、不思議なことにだんだん男性陣も私のために頑張るようになりました。
…私が、上司として気を付けたことは次の点です。
①男性、女性、正社員、時給社員に関わらず、態度会話接し方に一切差をつけず平等に相対すること
②仕事が普通に完了したら必ず「良くやった、頼りになる」旨の言葉をかける
③仕事上のアイデアや意見が出たら、「私は良い考えと思うがみんなはどう思う?」と他の部下の意見も参考にする
④お菓子や飲み物、アイスなど、仕事の合間、休憩時などにちょこっと差し入れしてみんなで和む
以上のようなことですが、一番心がけたのは「ストレスをためない職場」にしたいと思ったんですよ。
こうして私のために楽しく和気あいあいな理想の職場になりつつあったんですが、そんな状況を見て、その後他の部署から上層部にクレームがはいりました。
「あの部署は会社に来てへらへらしてる!真剣に仕事してるのか !? 」
「課長は部下を物で釣っている、リーダーの自覚がない!」
結果、私は社長に呼ばれ、面談することに。
「…森緒課長は、研修で学んだことに反発して部下に勝手な態度でのぞんでいるというのは本当か?」
社長の質問に対して私は、
「私は会社に貢献するために部署として成績を上げるのにベストと思うことを課長としてやっております!」
と答えました。
そして、結局私は本社営業所から70キロ離れた成田営業所という田舎部署に異動という結果になったのです。
そしてその成田営業所での勤務生活と言ったら…。
と~っても楽しいものでした。
本社からうざい面倒くさいことも言われないし、つまらんことをチクってケチつける他部署もそばに無いですからね。
今まで以上に和気あいあいと職場で楽しく過ごす毎日で良かったです。
ま、人生なんてそんなもんですよ!
そんな訳で、長々と私の話に付き合って下さった読者のみなさん、お疲れ様でした。
私のお話はこれで終わります。
皆さんの人生に幸多きことを願っております。
では。…森緒 源でした!
朝木万葉さんの「人生について語ったエッセイ」企画へのエッセイ 森緒 源 @mojikun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます