第21話 透けるぞ、透けるぞぉ、まる裸にしてやる

 ローニー先生から伝言を貰ったので行ってみた。


「竜化の呪物できたよぉ」

「すいませんね。無理言って」


「作るの面白かったぁ」

「そうですか」


「ドラゴンのウロコとぉ、血を使うなんてぇ、二度とないかもぉ」


 一度きりしか使えないから大事に使おう。

 俺はお土産のマナ・ポーション10本を渡した。


「何時も済まないねぇ」

「ではこれで」


 平日は学園でマッサージを、週末はルドウィンに飛んで盗賊を狩るのを繰り返した。

 ちなみに盗賊の被害者で行き場のない人は喫茶店で雇った。

 現在、5号店まである。


「オーナー、おはようございます」

「そろそろ、何か考えないとな。飽きられると飲食は傾くの早いから」

「メニューを色々と工夫して、普通の喫茶店と同じになってますけど、駄目ですか」


「何か物足りないと思ったら音楽が無いんだな」

「貴族の御屋敷でも楽団なんか雇えません。舞踏会やパーティでないと、とてもとても。吟遊詩人なんかだと酒場になってしまいますし」


 歌を発する魔道具を作れないかな。

 振動刃魔法でスピーカーみたいな物を振動させるか。

 できそうだが、開発に時間が掛かりそうだ。


「オルゴール辺りで妥協しておくか」

「そうですね。オルゴールならそれほど高くないですし」


 店はこれで良いとして、盗賊を倒しまくって分かったのは、矢の速さには対抗できないって事だ。


 魔法だとこの限りではない。

 魔法のスピードは素人が投げる野球のボールの速さぐらい。

 たぶん時速100キロから130キロぐらいだろう。

 手元から加速する為に距離が短いと、なおさら遅い。

 秘孔も押せるという訳だ。


 隠蔽魔法で盗賊は何とかなっているが、スピード対策が必要だ。

 モーラ邸で鑑定石を触る。


 魔力、17852年。階級F。余白2。

 覚えている魔法がそよ風ブリーズ呪いの藁人形カースドストロードール魔力感知マナセンサー調合ミックス点火イグニッション振動刃バイブブレード人除けエクスクルードピープル隠蔽ハイド


 余白が2から上がらない。

 今まで覚えた魔法の余白は20だから、22で打ち止めなんだろう


「アイナ、余白は使ったのも含めて幾つだ」

「48よ」

「くそっ、俺の2倍以上か。まあ、人生こんな物だよな。才能だけが全てじゃないし」

「気を落とさないで」


「気を落としたりはしないさ。残りの2つの余白で何を覚えるか、考えてワクワクしてる」


 覚えたいのは思考加速魔法と幻影魔法だ。

 思考加速は覚えたからと言って早く動ける訳じゃないし、通常は思考が何倍も速くなる訳ではない。

 せいぜい1割増し程度だ。


 それにエロだ。

 今、そよ風の手は一組しか出せないが。

 思考加速を覚えれば二組ぐらいは出せそうだ。

 いや、手と舌の組み合わせの方がいいな。

 実にエロそうだ。


 幻影魔法はちょっと考えた事があるので、それを試すためだ。


 学園に帰り、リリー先生の所に行く。


「思考加速魔法と幻影魔法を覚えたいんですが」

「どちらもそんなに便利ではありません。再考してはどうですか」


「分かっています思考加速は一割程度。幻影は違和感を持たれると解除されてしまう」

「幻影魔法は人間もですが、モンスターにも熟練しないとほとんど効きません」


「でも良いんです」

「分かりました。首席の言う事ですし。ところで最近授業に出てませんね。単位を取ってるので、出る必要がないのは分かっていますが、生徒達との交流も大事です。実技だけでも出て下さい」

「先生がそう言うのなら」


 実技は思考加速の訓練に良いと思う。

 でもエロがないとやる気が出ない。

 思考加速魔法でエロ。

 どんな訓練がやれるだろう。

 幻影魔法と組み合わせるか。


 さっそく、思考加速魔法と幻影魔法をインストールした。

 試してみよう。


魔力感知マナセンサー思考加速オウトアクセル幻影イリュージョン


 魔力感知で脳内に歩いている女生徒の裸のシルエットが描かれる。

 それに幻影魔法で色が加わる。

 思考加速魔法は処理を鮮明にする。

 うんエロいな。

 透視眼鏡を得た気分だ。


 これで修行も捗るな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る