第16話 俺は無罪だ! 直接は触ってない!

 学園に帰って来た。

 振動刃魔法を試したいぞ。


 女の子を気持ちよくさせて、あられもない姿が見たい。

 俺は中庭のベンチに座る女子生徒を発見して物陰に隠れた。


そよ風ブリーズ呪いの藁人形カースドストロードール魔力感知マナセンサー振動刃バイブブレード


 バイブハンドを発動。


「ひゃ。これは何。あんっ」


 女性が喘ぐ。


「そこまでです」


 物陰に隠れていた俺は数人の女生徒に囲まれた。


「ゴキブリローパー、現場を抑えました観念しなさい。あなたを痴漢の容疑で告訴いたします」

「なんの事かな?」

「申し開きは法廷でしなさい」


 視界の端にアイナを捉える。

 アイナはやれやれといった感じだった。


 縄をかけられ、俺が連れて行かれたのは講堂。

 ここで裁判が開かれるらしい。

 裁判長役は学園長。

 検察役は女生徒。


 被告の弁護士は付かないらしい。


「最初に言っておく、私は貴族でここを自治する権利を得ておる。従ってこの裁判は正式な物となる。では始めます。告訴側からどうぞ」


 学園長がそう宣言して裁判は始まった。


「ゴキブリローパーことヒロは、同意なく女生徒の体を触り痴漢しました。被害者も多数出ています。去勢の罰が適当かと思われます」

「触ったと言いましたよね。どうやって?」


 俺は反論した。


「それは魔法でです」

「魔法で。それの何が問題なのですか?」

「問題でしょう。明らかな痴漢行為です」


「嫌だな。直接触った訳ではない。魔法が触れただけです。練習してた魔法が、偶然にあさっての方向に行っただけです」


「では被告を魔法傷害罪で訴えます」

「どなたか私の魔法で怪我人が出ましたか?」

「いいえ」

「では無罪ですね」


「心に傷を負いました」

「話にならない」

「何ですって」


「静粛に。意見は出尽くしたようですね。判決を申し渡す。被告は無罪とする。ただし今後、同意なく魔法で女生徒を触った場合は去勢の罰を執行する物とする」

「そんな」


 俺のエロ魔法道への道が途絶えてしまう。

 そうだ。


「同意なく触るのが問題なのですよね?」

「そうです」

「では同意があれば?」

「愛の営みを禁止する事はできません。子供を安易に作られるのも問題ですが、年に何人かはそれで休学します。学園は結婚相手を探す場でもあります。責任を取れるのなら、恋愛は自由にどうぞ」


 言質はとった。

 エロ魔法道の道はまだ続いている。


 俺は学園を休学した。

 お金を払い、ルドウィンに転移させてもらう。


 今日からゴブリン相手に修行だ。

 昼は森で夜はモーラ邸でだ。


 お触り魔法をナイフの形に変える。

 それに振動刃を付けた。

 ゴブリンを見つけるとそよ風の刃で切り刻んだ。

 かすり傷ぐらいしか与えられなかったが、しつこくやったら血まみれになって死んだ。


 日が暮れる前に引き上げ、今度はモーラ邸で瞑想しながら流魔呼吸法だ。

 寝ながらでも呼吸法が行えるようになった。


 そよ風の刃で最初はかすり傷ぐらいしか与えられなかったのに、ひと月が経ち、ふた月が経ち、遂には一撃でゴブリンを倒すまでになった。

 これに秘孔魔法・倍増拳を使うとオークも一撃で倒せた。


 モーラ邸で鑑定石を触る。

 魔力、18618年。階級F。余白12。

 覚えている魔法がそよ風ブリーズ呪いの藁人形カースドストロードール魔力感知マナセンサー調合ミックス点火イグニッション振動刃バイブブレード


 いよいよ、人除け魔法と隠蔽魔法が覚えられる。

 毎日、流魔呼吸法をこの邸宅で頑張ると2ヶ月で18618年分も溜まるのか。

 時間がないので、ポーションを作ってなかったけど今から作るか。


「学園の授業に全く出てないようですわね」


 ポーションを増産してたら、邸宅の中でモーラにつかまった。


「授業の内容なんてもう頭に入っている。実技も敵なしだからな」

「アイナがさみしがっていましたわ。EXP・ポーションが手に入りましたので、持って参りましたの」


「そうか、ありがと。明日から授業に出るよ」


 俺は赤色をしているEXP・ポーションFランクをぐっと飲み干した。

 鑑定石に触って確かめたがランクが上がっていない。

 なんでだ。

 パチモンを掴まされたのか。


「すいません。何か手違いがあったようですわ」

「いいよ。詐欺の品に引っ掛かったんだろう」

「またこの埋め合わせは致しますわ」

「そうだな貸し一つだ」


「この地方のゴブリンとオークが全滅したみたいですけど、あなたの仕業でしょうか」

「うん、そうかも」

「助かりましたわ。モンスター被害を抑える予算が割けなかったのです。ゴブリンが減ると肉食のモンスターの数も減ります。当分の間、モンスター被害は出ないでしょう」

「そんなつもりはなかったけどな」


「少し今のあなたの実力が見てみたいですわ」

「ほう見てみたいと。それに同意するんだな」

「ええ、同意致します」


 バイブハンド×2を起動。

 2ヶ月の修行でそよ風の手を多重起動できるようになった。

 F級なので一つが人間の手の大きさぐらいだけどな。


「あんっ。そんなつもりではありませんわっ」

「実力が見たいんだろ。これが俺の実力だ」

「ふあっ、あんっ、ゆるして、あんっ」


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


 久しぶりに堪能した。

 モーラは失神している。

 ちょっとやり過ぎたか。


 それから学園に戻り、ローニー先生の所にマナ・ポーション10本を持って顔を出した。


「これお土産です」

「いいのぉ。悪いねぇ」


「実はお願いがありまして。人除け魔法と隠蔽魔法を覚えたいのです」

「いいよぉ」

「それと遅くなりましたけど、金貨300枚です」

「じゃ、竜化の呪物が出来るのを待っててねぇ」


 人除け魔法と隠蔽魔法をインストールした。

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