第17話 エッチは双方が気持ち良くないと

 やるぜ。

 中庭のベンチに三つ編みのお下げで眼鏡の女の子が座っている。

 やってやる。


 人除け魔法と秘孔魔法・反転拳で快楽結界を発動。

 そして、隠蔽魔法を発動。


「この気持ちは何。ふわふわして気持ちいい。いけない事しちゃいそう。あー、あんっ」

「お嬢さん、もっと気持ちよくなりたいかい?」

「でもでもぉ。あんっ」


 心ここにあらずなのに粘るな。

 快楽結界を停止。


「どうだい止めていいのかい」

「あなた誰?」


「そんな事よりもっと気持ちよくなりたくないか」


 快楽結界を再開。


「なりたいけど。あんっ、こんな所ではらめぇ。あんっ」


 粘るな。

 自制心が発達しているのか。


「欲しい物とかないか。買ってあげるよ」


 マナ・ポーションを沢山作って金は大丈夫だ。


「真の魔導書をくれるのならぁ、はふぅ、あんっ」


 真の魔導書は買うと高いが俺は作れる。


「上げるよ。同意してくれるね。触っても良いかい」

「ええ、いいわ。いいわ。らめぇ」


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


 鬼のような形相ではなく涙を流しているアイナが現れた。


「もうどうしたら良いか分かんない。うわーん、氷の槌アイスハンマー氷の槌アイスハンマー氷の槌アイスハンマー

「やめろ死んでしまう」

「死んでしまえ」


 アイナの心が乱れているのかアイスハンマーはことごとく外れた。

 いったいどうしたんだ。

 エロ魔法が完成形になったというのに。


 俺は眼鏡の女の子を医務室に運んでから、自分部屋で考えにふけった。

 あー、何かもやもやする。

 気分よかったのが、台無しだ。

 なんとなく今後もエロ魔法をやるとアイナの泣き顔が浮かぶような気がした。


 魔力感知が隣の部屋の魔力を捉える。

 モーラ、帰って来ていたんだな。

 モーラは部屋を出ると俺の部屋のドアの前に立ちノックした。


「開いてるよ」


 モーラは部屋に入って来るなり俺の頬を叩いた。


「邸宅での事は悪かった。ちょっと激し過ぎたな」

「そんな事を怒っているのではありませんわ」


「何だよ」

「アイナの事ですわ」

「ああ、泣いていたな」


「あなたに他の子にちょっかいをかけて欲しくないのですわ。分かりませんか」


 もしかしてアイナは俺に惚れているのか。

 うん、エロ魔法道は自分の助平心だけを満たしていれば良いのか。

 いな、そんなの楽しくない。

 エロ魔法道、失格だ

 気持ちいい事の前に気が散る要素があっては駄目だ。

 アイナに誠心誠意謝ろう。

 これで良いんだ。


「俺、アイナに謝って来る」

「そうなさいまし」


 アイナの部屋の前に立ちノックする。


「はい」


 ドアが開いた。


「アイナ、ごめん。もうあんな事はしないよ」

「分かってくれたのね」


「それで、もし良かったらアイナに、エロ魔法のパートナーになって欲しいんだ」

「ちょっと、反省したんじゃなかったのね」


「いや、聞いてくれ。エッチは双方が気持ち良くないといけない。一方通行は駄目なんだ。俺はアイナと気持ちよくなりたい」


 快楽結界を発動。


「気持ちよくて何も考えられない。あんっ」

「アイナは頷いてくれれば良いんだ」

「うん、パートナーになる。あんっ」

「じゃ、さっそく」


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


 事が終わり。


「私に気持ちよくなる魔法を掛けたわね。良くも。そんな事しなくてもパートナーになってあげたのに」

「だって頷いてくれそうな感じじゃなかったから」


「それはパートナーっていうと婚約でしょ。もっとムードのある所でしてほしかったの。夕日の沈む海岸とかで」

「夕日の沈む海岸でエッチ。良いな」

「もう、エッチなんだから。氷の槌アイスハンマー


 結局それが来るのね。

 我が魔法人生に1マナの悔いなし。


 回復魔法を掛けて貰った俺はモーラの部屋のドアの前に立った。


「はいどうぞ」

「モーラ、俺のパートナーになってくれ」

「もうなってますわ」

「ええー」

「夕食の席の事をお忘れですか」

「だってあれは嘘の」

「貴族の言葉は重いのですわ」


「いや、そうじゃなくてエロ魔法のパートナーになってほしいだけなんだ」

「エッチな事を致すのでしたら、婚約者になってもらいませんと」

「まあ別にいいんだが。ではさっそく」


 快楽結界を発動。


「ちょっと待って下さいまし。やんっ、あんっ」


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


 パートナーを二人得る事ができた。

 おれのエロ魔法道の研鑽が進むに違いない。

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