第14話 掴んだら逝ってしまいました

 今日も昨日に引き続いて余白が上がったらいいな。

 邸宅で優雅に朝ごはんを食べていたら、突如鐘がけたたましく鳴り響いた。


 何だ、何だ。


「お嬢様、大変です。オークのスタンピードが起こりました」


 ボーナスステージ到来か。

 俺達は急いで城壁に登った。

 眼下には数千のオークがひしめいている。


 まずはご挨拶。


「秘孔魔法・死弾、乱れ打ち」


 ばたばたとオークが倒れていく。

 雑魚オークはどうってことはないな。


 何十匹オークを倒しただろうか。

 腰の袋を見るとすっかり空だ。

 くそっ弾切れか。


「アイナ!アイナ!弾!弾持ってこい!アイナーーー!

「そんな大声出さないでも聞こえるわよ。収納ストレージ。はい、補充の矢」


「サンキュ」


 矢を撃ちつくしたが、数百倒しただけだ。

 二割いったかどうかだな。


「埒が明かないな。一度引き上げよう」

「そうですね。打って出るにしても作戦が必要ですわ」

「魔力が空になるぐらい魔法を撃っても、どうにもならなさそう」


 邸宅に引き上げ作戦を練る事にした。


「この領地にC級以上の魔法使いはほとんどおりません。もしかしたら、アイナさんが最大戦力かも知れませんわ」

「アイナの魔法を増幅できるぜ」


「私の魔法は射程が短いから打って出ないと」

「打って出るのは上手くないですわ。囲まれて終わりです」


「矢をとりあえず撃ちつくせ」

「弓矢は人気がないので、数が集まるかどうか。城壁の上に遠距離魔法が得意な兵士を並べて、撃ちまくるしかないと思いますわ。あなた伝令をお願い」


 モーラが身近にいた使用人に言伝を書いて渡した。

 とりあえず結果を待つか。


 結果はすぐに届けられた。

 効果が薄いそうだ。

 D級以上じゃないと明確なダメージはないそうだ。

 兵士にもE級が多いんだな。


 俺の出番の様だ。

 俺は城壁の上で秘孔魔法・倍増拳をして回った。

 雑魚は粗方片付いたが、オークジェネラル3頭とそれよりも大きな個体1頭が残っている


 これは俺達が片付けないといけないようだ。

 俺は出撃の準備に入った。


 鑑定石に触る。


 魔力、268年。階級F。余白3。

 覚えている魔法がそよ風ブリーズ呪いの藁人形カースドストロードール魔力感知マナセンサー調合ミックス


 魔法を覚えよう。

 選んだのは点火魔法と振動刃魔法。


 どちらも近距離攻撃だ。

 遠距離攻撃魔法を覚えろよって声が出そうだが、趣味を優先させるこれは譲れない。


 出陣だ。

 出会い頭にアイナがアイスハンマー。

 俺はそれを秘孔魔法・倍増拳。

 オークジェネラルがミンチに。


 少し遅れてモーラがエアカッター。

 俺はそれを秘孔魔法・倍増拳。

 オークジェネラルの首から血しぶきが吹きあがった。


 秘孔魔法・強化点穴で俺を強化。

 オークジェネラルに駆け寄り。


点火イグニッション、秘孔魔法・倍増拳」


 オークジェネラルは灰になった。


「グオオオオ」


 オークキングと思われしオークから雄叫びが上がり俺達は麻痺した。

 そして、衝撃と共に空中へ浮いていた。

 棍棒で叩かれたらしい。

 体中が痛い。


 麻痺の雄叫びは前にも食らった。

 秘孔魔法・解除拳。

 あれっ、麻痺が解除されない。

 結び目が幾つも出来ている感じだ。

 これは解くのに時間が掛かりそうだ。


 魔力感知で状況を把握する。

 アイナとモーラは裸に剥かれているみたいだ。

 オークは俺に負けないぐらい助平だな。

 いや、こんな事をしている場合じゃない。

 出来る事があるが。

 うわっ、やりたくない。

 やりたくないが、仕方ない。

 時間稼ぎのためだ。

 秘孔魔法・解除拳。

 喉から上の麻痺を解いた。


振動刃バイブブレード


 俺はお触り魔法に振動を付与した。

 掴みたくないが、オークのパオーンをむんずと掴んだ。

 あれやこれで、オークは賢者モードになった。


 これで時間が稼げるはずだ。

 よし、麻痺が解けた。

 よくもアイナとモーラにパックしてくれたな。


 俺は立ち上がるとお触り魔法に素手で秘孔魔法・倍増拳を打ち込んだ。

 オークが叫ぶ。

 巨大になったお触り魔法の振動で叫びが中和される。


点火イグニッション、秘孔魔法・倍増拳」


 オークキングは灰になった。

 俺、今回は活躍したよね。

 褒美をもらっても良いよね。

 てか、あの感触を忘れたい。

 別ので上書きしよう。

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