第11話 敏感な穴

「せっかく田舎に来たんだから、モンスター退治もやってみたいな」

「それでは3人で出かけましょう」


 街から出ると辺りは田園風景だった。

 モンスターのモの字もない。


「モーラさん、モンスターがいないけど」

「嫌ですわ。私の事は二人とも、モーラとお呼びになって下さいまし」


「モーラ、モンスターは?」

「森に入れば出会えますわ」


 さいですか。

 モンスター討伐をやるんだったら、攻撃力が欲しいな。

 体の魔力をいじっても爆発したりはしないんだよ。

 金縛りや気分を悪くする事はできるんだけども。


 そうだ。

 敵の弱体化でなく自分の強化を考えよう。


 ふおぉぉぉ、つんつんつん。

 俺はお触り魔法を使い、自分の体の魔力の流れを調整した。

 何倍もの力が出るはずだ。

 名付けて秘孔魔法・強化点穴。


 森が見えて来た。

 うっそうと茂る森ではなくて人の手が入っている森だ。

 道もあるし、こんな所にいるのか。


 と思ったら緑色をしたゴブリンがやってきた。


「任せろ」


 俺は短刀でゴブリンの首を刎ねた。

 簡単だな。

 物凄く弱い。


 そう思ったら団体でゴブリンが出て来た。

 中には弓を持った個体もいる。


 ゴブリンは先制攻撃とばかりに矢を撃ってきた。

 ええと、矢に対抗する手段がない。

 うわっ、俺って間抜けだ。


 二人の所に逃げ帰った。


「任せろとか自信満々で言っておいて、それなの」


 矢に対抗するには、お触り魔法でそらすのは出来そうだ。

 でも反射神経が追い付かない可能性が大。

 ボウガンみたいな早いのだともっと無理そうだな。

 これは今後の課題にしよう。


氷の槌アイスハンマー


 アイナの魔法でゴブリンがミンチになる。

 ゴブリンは敵わないと思ったのか逃げ出した。


 遠距離に対抗するなら、遠距離攻撃か、防御だな。

 あれっ、俺の主武器をボウガンにして盾を持てば解決かな。


 そんなのロマンがない。

 そうだ。

 そよ風の手で指弾をすればいい。

 小石を手に取ってやって見るが無理だった。

 髪の毛は運べても小石は無理。


 吹き矢はいけるんじゃないだろうか。

 吹き矢の矢なら風で加速出来る。

 そよ風を筒状にする必要があるがやれそうだ。


 ゴブリンから爪ほどの赤魔石を掘り出す。

 やっぱり最下級か。


 そして、ぼたぼたと何かが落ちて来た。

 うわっスライムじゃないか。

 ゴブリンの血の匂いで落ちて来たのだろう。


鉄の肌アイアンスキンですわ」


 モーラが魔法を行使する。

 モーラは俺達にも魔法を掛けてくれた。


 ぞくっときた。

 尻の穴をスライムに舐められた。

 くそう、おかま掘られてたまるか。


「ちょっと、そこの穴は駄目。敏感なのよ」


 アイナが大変な事になっている。


「激し過ぎ。息が出来ない……」


 今、助けに行くぞー。

 尻のスライムを引きはがし、アイナの顔にへばりついたスライムを取る。


「ぷはぁ、助かった。危うくスライムで窒息するところだったわ」

「どこが敏感なのか。ここか」


 俺はアイナの耳の穴に息を吹きかけた。


「やん」


 アイナはピクンと跳ねた。


「このエロ脳が。氷の槌アイスハンマー


 俺は腹についていたスライムを盾にした。

 もちろんスライムが盾になる訳なくしこたま殴られた。


 俺達の色々な所にへばりついていたスライムは一か所に集められ。


「この下等生物が、氷の槌アイスハンマー。このエロモンスターが、氷の槌アイスハンマー。死ね、死ね、死ね、あれ噛んで死ね、氷の槌アイスハンマー


 スライム達はアイナの殺気のこもった魔法で、滅多打ちされた。


 鉄の肌は防御には便利な魔法だが、俺達はスライムに服を所々溶かされ無残な姿になっている。

 肌色面積増量中。

 うひょー、エロいぜ、エロいぜ。


収納ストレージ、モーラ私の服を貸してあげる。ヒロ、何見ているのよ。後ろを向きなさいよ」

「ちぇ」


 衣擦れの音が想像を逞しくする。

 がさがさと草をかき分ける音がする。

 敵襲か。

 なら、振り返ってもいいよね。

 ちらっ。

 うお、桜色のぽっちが。

 メロンとパパイヤが。

 神秘のデルタ地帯が見えた。


「見ないで下さいまし」

「きゃー、見るな」


 グーでアイナに叩かれて星が飛ぶ。

 思考がピンク色から闘争の赤色に。

 敵襲はどうなった。


 見ると音の正体はウサギだった。

 何だよウサギかよ。


「いつまで見てるのよ」

「いや、草をかき分ける音が」


「問答無用、氷の槌アイスハンマー

「不可抗力だー。うぎゃー」


 我が魔法人生に1マナの悔いなし。


 気がついたら着替えは終わってた。

 ちぇっ、もっと見ていたかった。


「あれっ、俺の着替えは?」

「そんなのある訳ないじゃない。女物を着たいの?」


「俺は女装癖なんてない」

「じゃ我慢するのね」

「もう帰りたいぜ」


「そうね。充分堪能したわ」

「少し不用意でしたわね」

「うん舐めてた」


 モンスター退治が大変なのが良く分かった。

 もっと戦力アップしないとな。

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