第5話 授業
「さあ、授業始めます」
リリー先生が教卓を前にしてそう述べた。
「今日は115ページです。想見の説明と種類を全部言える人。手を挙げて下さい」
誰も手を挙げない。
「先生、ゴキブリローパーが来ているから、こいつに答えさせろよ。今までさぼった罰だ」
「今日授業が初めての生徒に無理はいけません」
めんどくさいな。
黙らせるか。
「想見とは魔法を発動する場合に魔法陣の役割を果たします。通常は脳内に描きます。種類は想見点、想見線、想見面、想見像、想見流転点、想見流転線、想見流転面、想見流転像、想見光陰過去、想見光陰未来、想見次元です」
俺は質問に答えた。
「素晴らしいですね。授業に出ていないのに予習とは感心です。詳しく説明すると想見点は魔法陣を点で表します。想見線は直線で、想見面は図形で、想見像は立体です……」
これ以上聞いても意味がないな。
俺が今まで読んだ本に全て書いてあった。
瞑想しているうちに座学は終わり、実技に移るようだ。
授業は場所を修練場に移した。
的に魔法を放つ授業らしい。
俺の番が来た。
「
ふっ、的に掛かっている防御魔法の魔力の流れが分かる。
「
お触り魔法が防御魔法の秘孔に触る。
むっ、魔法が解除されない。
ああ、指で押す微妙な感覚がないと駄目なのか。
それとも、呪いで繋がっていないと、魔力的な何かが不足しているのかも。
とりあえず、髪の毛を入れて呪いを掛けないといけないという事だ。
弱点が一つ解消したと思ったが上手くいかない。
「
お触り魔法を発動。
そよ風が手の形になって俺の髪の毛を運ぶ。
つんつん。
秘孔魔法・霧散拳、発動。
防御魔法の秘孔を触ってやった。
今度は上手くいった。
やはり呪いは不可欠なんだな。
とどめだ。
つんつんつーんつんつんつーんつんつんつーん。
そよ風の指が脆い木の的に幾つもの穴を開けていく。
的は真っ二つになった。
「ゴキブリローパーの癖に」
「ヒロ君の素晴らしい魔法に拍手を」
リリー先生がそう言って拍手をした。
今ならおっぱいにタッチできる。
俺はお触り魔法をリリー先生の方に移動した。
「ヒー、ロー」
アイナが鬼の形相で俺に詰め寄る。
「ちょっと待て何もしてない」
「エッチセンサーに反応があったから」
「とにかく無罪だ」
ちくしょう。
アイナの感知を潜り抜ける事が出来ないかな。
魔力が丸わかりなのがいけないんだな。
隠蔽魔法を覚えるべきだろう。
それには余白が8必要だ。
これは並大抵の努力じゃ手に入らない。
言うなればレベル3の者がレベル11にならないといけないという事だ。
RPGでも序盤は死にやすい。
至難の業だ。
追々の課題としよう。
みんなの的への魔法は終わり、次は魔法戦のようだ。
「さきほどの見事な腕前を披露してくれたヒロ君に、挑戦したい人は手を挙げて」
リリー先生が呼び掛ける。
「化けの皮を剥いでやる」
そう言ってハンサムな男子生徒が名乗り出た。
「では準備は良いですか。魔法戦、始め」
「先手は譲ってやる掛かって来い」
俺はそう言って手招きした。
「くそう、舐めやがって。
つんつん、秘孔魔法・霧散拳。
俺はお触り魔法で火球の秘孔を触ってやった。
霧散する火球。
「ふん、たわいない」
「消去魔法だと。嘘だ。こんな奴に使えるはずはない」
「撃って来いよ」
「くそう。
霧散させるのも芸がないな。
あの移動を司っているはずの魔力の流れに細工すれば。
つんつん。
火球は引き返して、撃った本人に直撃した。
「うあぁ。痛い」
「ヒロ君は魔法戦は初めてでしたね。このように、この結界の中では、攻撃を食らうと痛みに変換されます」
リリー先生が俺に説明をした。
なるほどね。
遠慮は要らないって事だ。
元から遠慮してないけど。
今の攻撃は秘孔魔法・反射拳と名付けよう。
「ちくしょう、降参する。反射魔法に対する手札がない」
「勝者、ヒロ。では、次に挑戦したい人」
「はい、僕が」
インテリ風の生徒が手を挙げた。
「では始めます。魔法戦、始め」
「撃って来いよ」
「その手には乗りません。
そう来たか。
でも秘孔魔法・霧散拳に死角はない。
つんつん。
身体強化は霧散した。
体の魔力の流れに意味があるのが分かる。
じゃあ、ここを触れば。
つんつん。
秘孔魔法・金縛り拳。
「何をした。足が動かない」
「うるさいな」
喉も麻痺させちゃえ。
つんつん。
だらだらと汗を流す対戦相手。
俺は近寄り、デコピンをした。
倒れていく対戦相手。
「勝者、ヒロ」
このままだと可哀そうだな。
魔力の流れが歪になった所めがけて、つんつん。
秘孔魔法・解除拳。
俺を見る目が変わったのが何となく分かる。
こんな称賛の眼差しは要らない。
魔法や野郎の体を触りたいんじゃないんだ。
エロが欲しい。
対戦相手に女子が立候補してくれないかな。
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