第39話 商売上手
アキハが話始めた都市伝説はみこと達も初めて聞くものであった。
そもそも、都市伝説であればなんとは無しに聞いた事くらいはあるはずであるが。
「聞いたこともない、都市伝説があるものなんですね。
私も都市伝説は好きなので結構話はしていると思っていいたのですが。」
みことは、アキハの話を聞きながら素直に自分の感じた感想を述べていた。
「お好きなんですね、都市伝説。ちょっと意外かも。」
アキハの反応は最もらしかったので、木崎と周平も笑いを堪えながらアキハの話の
続きを待ったいた。
「意外ですかね?まぁ、私も異能者ですし。自分が都市伝説見たいな
存在ではあるのんですけど。」
みことの反応に対して、アキハも含めてここにいる全員に笑いが起こる。
「みことさん、そんな事思ってたんですか。」
笑いの渦の中、木崎が辛うじて口を開く。
「何よ。悪い訳?」
みことの威嚇に対して、木崎は戦慄を一瞬覚え、全力で首を横に振り
否定を全身で表している。
「では、話を続けますね」
アキハは笑った事により、目に涙を浮かべながら、都市伝説の続きを話始めた。
―――ここ、白浜では遥か昔より一体の獣の伝説が継承されている
それは、とても大柄の狼や虎の類に非常に似ており、毛並みは白とも灰色ともとれる
色をしており全身に光を帯びているかのように輝いているように見えたと言う。
その、獣は平時には、時折人里におり畑や田んぼの作物を食べ時には家畜も食していたようであるが、ここら一体に住む人々はその風貌からこの獣を神と崇め、駆逐する事は無く崇め奉っていたそうだ。
そもそも、獣は時折人里に出るとは言っても年に一回程度であり、その食した作物は全ては豊作と成り、家畜は病気に成らず済んだ為、被害は無く寧ろ感謝の念を抱いていたそうである。
そんな、平凡な日常が続くなか、獣の噂を聞きつけた国のお偉方がこの町へやって来たのであった。
お偉方の一行は獣の触れたものは幸福を呼び込むと解釈したようで、獣を我が物と独占しようと考えたようでかなりの数の討伐隊を組みこの地を訪れていた。
だが、この町の人々は示しを合わせたように口をそろえて”そのようなものはいないと誰に聞いても同じ言葉で返事をするだけであった。
お偉方の一行は町の住人が己を馬鹿にし意向に沿わぬように示しを合わせていると考え町長を捕らえた。
そして、あろう事か真実を話さないのであれば、このものを極刑の処すと無理難題を突き着付ける。
それでも、町の人々は臆する事なく、口をそろえて返事をする。
「そのような者はいない」と。
お偉方は白を切る町の人々に対しての戒めを込めて、町長への極刑実行を命ずる。
白刃が命令と同時に素早く振り下ろされ、その刃は首を正確に切り付け勢い良く首が飛んだ、その首は何を間違ったのか、極刑を命じたお偉方のそれであった。
通常であれば、君主の首を刎ねたのだそのものもその場で処刑されてもおかしくはないが、お偉方の一行は誰一人動じず、町の人々も同様に眉一つ動かさずにその場に立ち尽くしていた。
そして、しばらくすると稲光のような光を纏った眩いばかりの光を放つ例の獣が姿を現した。
その獣は町長の前まで来ると頭を下げ、自身を神と崇め奉ってくれた事へ感謝を述べた。
それに対し唯一身動きの取れた町長は、獣の感謝対して自分達も大いに恩恵にあずかっている為、例には及ばない事と、今回の惨状について尋ねた。
獣は肯定の意を示し。
町長は受け入れる。
ただ、この惨状を知った上層部はこの町を取り潰すかもしれないとの懸念を持っていた。
獣はその意を汲み外へ伝わらぬようにしようと考えた。
町長はその意図するところを感じ取り、声を上げる。
「これ以上はお止め下さい」
だが、時は既に遅く、お偉方の一行は刀を手に取り互いに差し合い絶命して行った。
町長はさすがに、一行を全滅させるのは殺戮でありやり過ぎだと抗議したのだが、
獣は意に介さず、その場を去ろうとした。
町長は、獣に対して恩義はあるが獣の危険性も察してしまったのである。
そして、その場にある弓を引き振り返った獣の右目に一撃を加えた。
獣は一瞬たじろぐも、致命傷にはならず獣はその場を立ち去り。
町長は自らの行いを恥自害する道を選んだ。
矢が刺さった影響か町民達は町長が獣も前で自害する様のみを目の当たりにする事に
成り、町民達はその場に立ち尽くしていた。
そして、町民達がようやく状況を直視出来るようになった時には大量の死体がその場にあり、町長を初めとする多くの者の命が例の獣によって奪われたのだと考えた。
その後町民達は今まで敬っていた獣への感謝と敬意を憎悪に変えてしまい、獣を神では無く、呪われた災厄の害獣として禁忌の存在として未来永劫封印する事とした。
だが、その後町長達が死んだの前後で数名の町民が何者かに食い殺される事件が数年おきに起きるようになり、この現象を獣の祟りとして”白浜の厄災”として5年に一度怒りを鎮める為の儀式を開くようになったという―――
「その祭りが丁度、明日開催されますので、皆さまもぜひ楽しんで行って下さいね。
私たちも出店を出しますので。」
「ふふっ,
商売上手ですね。アキハさんは」
みこととアキハの微笑ましいやり取りが終わった次の瞬間にホテルのどこからか悲鳴にも似た声が聞こえて来た。
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