第38話 都市伝説
プールで思う存分遊んだ二人は木崎の待っているホテルの部屋に
集合していた。
「お二人ともずいぶんと遊んでましたね。」
普段は年相応の事はほとんど見せないみことも久しぶりに
同年代と遊べて楽しかったのか、最終的には小谷周平と一緒になって
はしゃいでいた。
「いいでしょ。たまにはさ」
木崎にからかわれた事に対して少し照れくさそうにみことが
返事を返す。
小谷周平も続いて部屋に入って来た。
「部屋広いですね。みんな一緒の部屋ですか」
「そんな訳無いでしょ。ここは私の部屋。
あなたは、下の階の部屋よ」
ここにも格差は確かにあった。
「私も小谷君と同じフロアーなので後で一緒に行きましょう。」
木崎はそう言って小谷周平と同じフロアーに宿泊する事を伝え部屋の
場所を案内する約束をした。
「さぁ、準備が出来ましたよ。」
木崎がそう言うと、目の前に数々の料理を並べて行く。
「これ、全部木崎さんが作ったんですか?」
「いいえ、流石にここまでは作れないですよ。
この料理はホテルの料理人に準備頂いたものですよ。」
木崎の運んで来た料理はホテル側で作ってくれたものの様で部屋の前まで運ばれて来た料理を部屋の中まで運び配膳を手伝っていたようだ。
「皆さまのお口に合えば良いのですが」
なんの前触れも無く唐突に、威厳のある丁寧な口調で年配の男性が口を開いた。
「私は、ここで総料理長を務めている、大神と申します。
皆さまのご活躍は兼ねがね」
「堅苦しい挨拶は抜きにしてもらえる。」
みことはどうも、こういった堅苦しい状況などは苦手なようで、かなり冷たい感じで料理長に対して物申した。
「いやはや、申し訳ない。どうもここには偉い方が宿泊される事が多きもので。
ついこのような口調に成ってしまって。」
「いえ、私も申し訳ございません。」
みことは到底16歳には見えない対応を料理長と行い、先程の非礼を詫びる。
「さぁ、どうぞ。召し上がって下さい。
皆さまの為に作った料理が覚めてしまうともったいない」
大神料理長に促されるままに三人は目の前に出された食事に手を付けていく。
これでもかと、言わんばかりに出された料理に終始満足気な表情の三人は雑談をしながら食事をたいらげていた。
話はもっぱら、異能関連の話題が多い為、料理長も時折会話に参加していた。
このホテルは政府が用意しただけあり異能者についての情報もある程度は伝わっておりみこと達は心置き無く会話を楽しむ事も出来た様子だ。
そんな、たわいもない異能者あるあるを話している時に、給仕をしていた女性がおもむろに会話に参加してきた。
「あのう、お話に割り込んで申し訳無いのですが、異能は動物にも宿る事はあるんでしょうか?」
「動物ですか?」
みことは、質問を聞き返し尋ねた。
「すみません。ちょっと都市伝説とかの類いで
気になっていた事があったので」
給仕の女性は申し訳なさそうに答えた。
ここでは、様々な政府関係者などが訪れる為、1給仕が話に割り込む事はそうそうない。
「謝らないで大丈夫ですよ。
異能を操る動物の都市伝説ですか?
逆に私が気になりす」
みことは、給仕の女性の緊張をほどくように優しく質問をした。
「失礼ですが、お名前を教えてもらっても?
その方が会話しやすいですし。」
木崎はみことと女性の会話に交じり彼女の名前を訪ねる。
「すみません。私は当ホテルの三鷹アキハといいます。宜しくお願いします」
三鷹アキハと名乗る女性はまたしても謝りつつ、簡単に自己紹介をする。
「私は霧崎みことです。
政府側の異能組織に所属しています。」
みことも、アキハに続いて自己紹介する。
「それにしても、動物が異能ですか。
私は聞いた事がないですね」
木崎がみことに続いて話に加わる。
「私もよ。異能を使う動物には出会ったことは無いわ」
みことも木崎も異能を使う動物については知らない様子である。
「珍しいんですね」
小谷周平は目の前の食事を口に運びつつ短く言葉を発する。
「じゃ、この辺だけに伝わる都市伝説なのかもしれないですね。」
アキハはそう切り出すと、自分の知っている都市伝説について話し始めた。
この都市伝説がみとこ達を新たな事件えと発展し、そして、異能の根幹にも触れる事になるとは
この時の3人は思い無視なかった。
「なんか、興味をそそられますね。
アキハさん教えてもらってもいいですか?
その都市伝説」
みことは目を輝かせて、アキハに話を振った事により
一行はアキハの知る都市伝説を教えてもらう事になったのである。
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