第26話 異能の検査
一通り、小谷周平の実験を終え、
彼自身の異能について、理解を深める事が
出来たみこと達は、今後の方針について話あっていた。
「それで、これからどうしますか。」
木崎は、彼の異能がそもそもかなり特殊であるため
どうすべきかの判断が出来兼ねている様子であった。
確かにそうだろう。
彼の異能は死者の魂をストックしいわば成仏させる
過程で傷を癒し、さらには死者を蘇生させる事が出来るのだから
異例中の異例だ。
魂のストック方法は解かっていないが、
悪用されようものなら一大事に成りかねない。
「どうしたものかしらね。
もう少し彼の異能については知る必要があるとは思うけど。」
とみことのつぶやきに対して。
「やっぱり研究所で実験ですかね」
小谷周平は少し不安そうな顔をしながら
みことの”知る必要がある”との言葉に反応を示した。
「大丈夫よ、言ったでしょ。あなたは私が守るから」
少し安堵した表情の小谷周平に対してみことはさらに続けて。
「それに、あなたの異能は、今後は私も含め、多くの人間があなたを護衛する事になると思うわ」
”国の宝”
死者蘇生の異能は正に国宝であった。
これで、もし魂のストック方法がわかれば
時の権利者達はこぞって奪いに来るだろう。
もしかしたら、国内でもその様な闘争は起こりうる可能性が十二分にある。
その為、ここから先はかなり慎重に動く必要があるとみことを始めここに居る全員が口には出さずとも
心の中では思っていた。
「さぁ、私はもう少し寝るから、また明日ね。」
「方針は所長とも相談して決めましょう」
みことは、敢えて小谷周平の異能についての扱いを後回しにした。
今、煮詰めて考えても良い案が浮かぶとは思えなかった為、一度考える時間を取る事にしたのだ。
みことの言葉に二人は同意の返事をして病室から出て行った。
ベッドの中で今度の方針と所長への報告そして、彼がもし考えうる最大限の異能を保持している場合の対処へ考えをめぐらせながらみことは眠りについて行った。
翌朝、昨日よりかなり調子が良く目覚める事が出来た。
今日は、まずはみこと自身の蘇生後の検査が待っている。
「みこと君、おはよう」
所長は、ノックの後にみことの返事を待たずに
病死へ入って来た。
「返事くらい待ってください」
みことは所長のデリカシーの無さに対して
怒りを込めながら、朝の挨拶としていた。
まあまあ、そう怒らないでといったか感じの所長であった。
そして、みことが起きたらすぐに検査が始まる為、それを伝えために病室へやって来たと告げた。
今回の検査は所長も参加して検査を実施するとの事で
特に異能に関する検査はかなり慎重になっているようである。
それもそうだろう。
霧崎みことのように、生まれた時から異能を有し、心臓移植で
2つ目の異能を獲得しさらに死んで生き返った人物など
歴史的に見ても恐らく彼女一人だろう。
「それじゃ、着替え終わったら3階に来てね。」
「健康診断から始めるから」
工藤所長はそう告げると病室を後にしてた。
その頃、木崎・小谷組は少し遅れてみことの入院している病院へ移動していた。
昨日は、木崎の家に泊まったようで。
みことの検査について話しながら、意気揚々と病院へ着くと、
特に案内は受けずに真っ先にみことの病室へ向かって行った。
小谷周平は特に何も考えずに勢い良く霧崎みことの
病室のドアを開け放った。
そこには、今まさに所長が出て行った後に
着替えを始めたみことの姿があった。
あっ。
と声を出そうとした瞬間には時すでに遅しの状態で、
間髪入れずにみことの鉄拳が炸裂し小谷周平の身体は宙を舞い
病室から叩き出されて行った。
「この変態!!ノックくらいしろ!!!」と
みことの怒号が飛び壊れんばかりの勢いで
ドアが閉まった。
木崎は後で笑いならその様子を見ていた。
小谷周平も昨日に引き続きみことが元気に
なったのが嬉しかったのは解かるが最低限の
マナーは必要だと学んでいた。
そして、二人は廊下で巻ていると、静かにドアが開き
手術のような服に着替えたみことが現れた。
「次は無いわよ」
恐らく、今までで一番強いであろう殺意のこもった一言に小谷周平は
全力で肯定の意を込めて首を縦に振っていた。
みことは、小谷周平へ威圧した後に3階へ向かって歩き始めた。
3階には所長と病院職員がスタンバイしていた。
「さぁ、始めましょうか。」
みことは、緊張した面持ちの医師ら病院職員に対して検査の開始を促した。
みことの号令に呼応して、病院職員達が働き始めた。
最初は何のことは無い身体測定から開始され、心電図やエコー、MRIなどを
順次行っていく。
普通の病院であれば、非常に時間のかかる検査であるが、
ここであれば検査を受けているのはみことだけの為、
次から次へと順調にそしてスピーディーに検査が行われていった。
「これで、身体検査は終わりになります。」
病院職員からの検査終了を告げる言葉を聞き、みことの身体検査は
最終的にレントゲンを全身くまなく撮影して終了した。
「みこと君、少し休憩するかい?」
所長の言葉に対してみことは、休憩は不要と返して
このまま異能に関する検査を実施することとなった。
異能の検査はフロアーを変えて行われる。
病院の地下へ行くとそこには闘技場のようなスペースがあり、
そこでは異能の全力使用が許可されている。
「では、引続き異能の検査を始めます」
職員がみことへ検査の開始をアナウンスした時に
みことはおもむろに手をあげてから全員へ告げた。
「ちょっと待って、ここで小谷周平さんの検査も行わない?」
予定外の申し入れの為、所長も少し躊躇したが
確かに効率はいいが。
「目的は何かあるかね?」
そう問いかける所長に対してみことは
ニヤリと笑い、闘技場へ降りてくるように小谷周平を手招きする。
小谷周平は嫌な感じしかしなかったが、彼に拒否権は
無いようでしぶしぶ闘技場へ降りて行った。
「さぁ、戦いましょうか。」
みこと、闘技場へ降りて来た小谷周平に対して
戦いを申し込んだ。
いったい、どのような目的があるのか
みこと以外誰にも分からず、小谷周平はただ、戦うしかない状況に追いやられていった。
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