第11話 検査
コンコンとドアがノックされる音で
小谷周平は浅い眠りから覚めて、ノックの主へ
入室の許可を込めて返事をした。
「はい、どちら様ですか?」
自分の家ではあるまいし、いささか変な感じであるが、
これ以外の返事が咄嗟に思い付かずに小谷周平は自分でも
苦笑いをしながら相手を招きいれた。
ノックの主は、先ほど部屋へ案内をしてくれた
所長の秘書の人だった。
「小谷様、先ほどお二人のお話が終わりましたので
こちらへ」
そう言われて、今度は所長室では、無く同じ
5階にある応接室へ通された。
そこには、すでに所長と木崎さん、みことさんに
ラプスして職員が2名の計5人が俺の入室を待って居たようだった。
「遅くなって、ごめんなさい」
みことは、いつもの調子で小谷周平の入室を確認すると
これからのプランを話し始めた。
みこととしては、こちら側から敵のアジトを
突き止め、現在集合をかけている、研究所の異能者が集まり次第、
アジトへの攻撃を仕掛け壊滅させる。
このような、好戦的なプランを立案、説明したようであるが、
所長から却下されたみたいだ。
「それで、どうするんですか。」
正直、このまま待っていてもと小谷も思ってはいたが、
具体的な考えはなかった。
「他の異能者は、各地で仕事が片付き次第合流するけど、数日はかかるね」
どちらにしても、攻撃と防御に割く人材が
少なすぎる。
その為、防御に撤して当初行われる予定であった。
検証を所長の代わりにみことと職員で行い、
研究所の防御は所長の異能フル稼働プラス木崎さんが連絡係のようだ。
そして。
「じゃ、行きましょうか、検査対象君」
「えっ、俺?」
「そう、あなた。」
まずは、職員の方に研究所ないを
案内してもらってから、どういうことかを
説明してくれるらしかった。
案内される、研究所内は想像していたよりずっと
広く、各研究室に運動スペース、一度入ったら宿泊場所、
風呂なんかもある。
ひとまずは生活には困らなそうだ。
一通りの案内を終えて先ほどの、応接室に戻ると、
みことがニコニコしながら話し始めた。
「じゃ、説明を始めるわね。」
「モルモット君」
と、みことの呟いた言葉に小谷周平はかなり
ビビった表情をしていたので。
「そんな、酷い言い方しなくても。」
と木崎さんが哀れみを込めた瞳で小谷を見ながら
フォローを入れていた。
いや、小谷周平からすれば、それはフォローではなく、
恐怖を倍増させるだけであった。
いったい、どんなことをされるのでのだろうか?
”普通の人間である自分に”
そうかんがえながら、恐るおそる研究所職員の後を再び着いていき
研究室へ入室する。
そこでは、既に複数人の研究員と思しき人物が
いろいろな機材を用意していた。
これは、自分の為に用意されたものだろうか?
それとも普通にある機材なのか。
「では、問診から始めます。」
と普通に風邪をひいて病院に来た時のような対応をとられた。
問診では、自分の体調など一般的な事だけを聞かれ、特に変わった
ことは無かった。
それから、特に驚くような実験や検査は無く。
血液を多少抜かれたり、レントゲンやらMRIやらの
身体測定やらが順次行われていった。
さしずめ、項目の多い健康診断のような感じで終始検査は進んで行き、
対応してくれる研究員も優しく接してくれた。
そして、最後に”巨大なカプセル”に入りMRIのような分析?
が行われて一通りの検査は終了した。
時間にすると、6時間程度は行っていただろうか。
途中、休憩は挟んだが、食事はとれず軽く水を飲んだ程度であったので
終わった時には、お腹が鳴るほど減っていた。
検査自体が始まったのが、13:00頃だったので、今は19:00頃だ
普通なら夕食にしているであろう時間帯であったので尚更、
空腹感に襲われていた。
検査終了後は一度、所長室によるように言われていたので、
再び、今後は案内無しで移動する事にした。
検査は3~4階のフロアーで実施していたので階段で登ろうかとも
考えたが、一刻も早くこの一連の作業から解放されたいのと、
空腹からとても歩くことは出来ず、朝使ったエレベーターで
上がることにした。
所長室についた、小谷周平は軽く「コンコン」とノックをして
中からの返答を待ってから、入室した。
「おぉ、お疲れ様」
所長は、そう言って一連の検査を終えた自分を室内へ迎え入れてくれた。
「腹減っただろ」と言う所長は、応接用のソファーの方へ
小谷周平を招き座らせ、秘書へ何やら耳打ちをしていた。
そして、数分、軽く所長と検査についてとかの雑談をしていると
再びドアが開いた。
そこには、配膳用のカートにおいしそうな料理が、たくさん並べられていた。
カートを押す秘書の後ろから、木崎とみことが現れる。
「お疲れ様」
みことは、そう小谷周平につ伝えた。
「さぁ、今晩も私たちが料理を作ったから。」
「冷めないう内に食べましょう」
そう、みことが言う。
さっきまでの感じとはかなり印象が違っていた。
が、過去にも検査前のようないじりはあったの最初から
こうするつもりだったのだろう。
そして、研究所とは思えない豪華な食事が
応接スペースのテーブルに並び、皆で食事を始めようとした瞬間。
突然、研究所のすべて壊れたのは無いかと思わせるほどの
轟音と、強烈な振動が室内を襲った。
「何ごとだ」
所長はそう叫ぶと、一人の職員が駆け寄って来て
「敵の襲撃です」
と慌てて伝えて来た。
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