第33話 決闘
みことは、この戦いを終わらせる事を誓い、
みことは、いつも通り大鎌を構え振りかぶる。
あるものの、集中してみことの動きに目をやっていた。
次の瞬間。
高輪真の目の前から、みことの姿が消えた。
かなりの異能者である高輪真の目にも映らない
瞬間移動の様なそれは、一瞬ではあるものの
高輪真の思考を止めるには十分であった。
高輪真がみことの移動に気付いた瞬間には既に
背後を取っており、渾身の力を込めてみことは
大鎌を高輪真の首を目掛けて振り下ろす。
高輪真の身体は鎌の一撃を衝撃を受けて、前方へ大きく飛ばされて
行った。
「流石に、この一撃だけではダメね」
みことは、少し残念そうにしながらも、置換の異能が
自分で思っている以上に使い勝手のいいことにある種の
手応えを感じていた。
高輪真は飛ばされ激突した場所から起き上がりみことを見る、
その目は、みことの攻撃に対する驚きと怒りが感じ取れた。
「どういう原理ですか?オートで防御を張っていなければ
危なかったですね。」
みことは、その言葉に対しては特に反応はせずに起き上がった
高輪真に対して、創造で作り出した矢を全方位に展開し一斉に放つ。
これは、当然見える範囲の為、高輪真の異能によってすべて防がれる。
そのように見えたのだが。
”ドロッ”とした血液が高輪真の足から流れ出ていた。
一体今の攻撃で何が起きているのか。
「これは、一体何かしら。」
これには高輪真も驚きを隠せないようでみことに問いかける。
「これも、さっきの移動方法もあなたのお陰よ。
ありがとう。私を一度殺してくれて」
みことは、さっきまでの様子とは打って変わり大分余裕が出て来た
ように感じられた。
それもそうだ。
この攻撃がここまで通用するとは正直みことは考えていなかった。
多少のスキが作れれば程度の考えでいた為、置換の異能と創造の異能の相性の良さと
高輪真の異能の特性を少しずつ暴いている状況に希望を見出し始めていた。
「流石にオート防御でも超連続の攻撃では耐えられない見たいね。」
みことは意味ありげに高輪真へ語り掛ける。
高輪真は目を丸くし驚いた表情を一瞬見せた。
みことの今の攻撃は目に見える全方位の矢そのものはフェイクであり、
置換の異能を付与している為、防がれた場合は即座に別の場所へ置き換え
再度攻撃をするようにセットしている、その為ほぼ無限に近い形で同じ矢が連続で攻撃を行うことを可能にしている。
これも、置換の異能を存分に使えるようになった恩恵であり、予想以上の効果で
高輪真のオート防御を突き破ることに成功したのだった。
高輪真は自身の足が傷付けられるとは考えていなかったようで
かなり頭に血が上っていた。
前回の腕への傷もありその怒りは普段彼女が見せるものではなかった。
「この、小娘が、二度も私の身体に傷を付けて、
ただで済むと思うな。」
高輪真はかなり強い言葉を使い、みことに迫る。
そのスピードは常軌を逸しており、みことの瞬間移動に引けを取らない程の
移動速度で、瞬く間にみことの前へ姿を現した。
みことも何とか彼女のスピードに着いて行き、
「いくら、もう一つ異能があったとしてもあなたでは
私には勝てません。」
高輪真はみことの先程の攻撃を受けてもいまだ、自身の勝利は確信して
いるよ様子である。
それもそうだ。
先程の2発はみこと側の手の内の分からない状況での2撃。
そして、ここからはお互いがその異能を少なくとも知っている
状況での戦いとなる。
考えていないようで、猛攻を仕掛けてくる。
そもそも、高輪真の異能は魂そのものに影響を与える。
それは、事象への干渉が可能である事も同時に示唆している。
つまり。
「我が前にある空間よ、そのエネルギーを我が前方に向かって解放せよ。」
みことは、これを回避する事は出来ずもろに攻撃を食らってしまう。
「どうですか。霧崎みこと。」
「私、
高輪真は絶対的勝者としてみことの前で高笑いをしている。
事象への影響が出来る以上みことの異能では太刀打ち出来ないと
踏んでいるのであろう。
「うるさいわよ。おばさん。一回攻撃当てたのが
そんなに嬉しいの?」
みことも負け時と虚勢を張るが、事象や空間へも影響を与える事の出来る
異能に対して思うように手が出なかった。
みことは、その後も2つの異能を駆使して攻撃を仕掛けるも
その後の攻撃は通じず、
吹き飛ばされては立ち上がるのを何度も繰り返していた。
「ハァ、ハァ、ハァ」
みことは息も絶えだえに成りながらも再び立ち上がった。
「もう、やめて下さい。みことさん」
そんな彼女の姿を見て、物陰で二人の戦いを見ていた
小谷周平は居ても立っても居られずに声を張り上げていた。
それに対してみことは小谷周平の方に一瞬目をやり”ニッコ”と笑った。
そして、今日何度目か分からないが、大鎌を構え高輪真へ攻撃を
仕掛ける。
大鎌を
その石と自分を入れ替え、攻撃の軌道を自分事入れ替え大鎌を薙ぎ払う形で
高輪真へ攻撃を加えるも。
「もう、それは通じませんよ」
そう言って、大鎌の所有権を奪い前回同様にみことの
腹部目掛けて大鎌を今度は高輪真が振るう。
そして、みことの腹部に刺さったそれは赤い血で
刃先は染まっていった。
「今度こそ、これで終わりよ。
さよなら、霧崎みこと」
口元をゆがめた瞬間に彼女から見える景色が一瞬で変わり腹部に違和感を覚える。
そこには、霧崎みことを貫いたはずの大鎌が刺さっていた。
一瞬の出来事に状況の理解が出来ずに高輪真からは
今まで聞いたことの無いような声が聞こえて来た。
「ぎゃあああああああ」
「どうして、どうして私にあんたの鎌が。」
「入れ替えたのよ、私をあなたを。」
「かなり危ない賭けだったけど、成功して良かったわ。」
そうは言ってもみことの腹部にも風穴は空いている。
それを、小谷周平は即座に近寄り治療する。
ここまでが、事前にみことが考えた、
自爆的作戦のすべてであった。
あの時の小谷周平の声かけと笑顔がキーと成って
この作戦の最終決行として、みこと達は見事に
掛けに勝ち勝利を収めたかの様に思われた。
次の高輪真の言葉を聞くまでは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます