第31話 勝利の鍵

 みことと小谷周平は所長と木崎の心意気に感謝し

高輪真タカナワシンを目指してアクアシティの

中を捜索していた。


アクアシティの内部は通常の商業施設に成っている為

くまなく探すことをせずに、直感を頼りに

7階の屋上を目指す。


「なんで、屋上にいると思うんですか」

小谷周平はおもむろにみことがなぜ確信的に屋上を

目指しているのか気になり質問していた。


「そりゃ、親玉は地下か最上階って相場は決まってるでしょ。」


そういうものだろうか。

それなら、6階が最上階なのでは?と口にすると

みことは、「バカなの?」ボスがフードコーナーとか

あるフロアーにはいないでしょ。


「みんなで焼肉でもするき?戦闘前に」


「屋上ならそれなりにかっこ着くでしょうが。」

そんな、理由で屋上を目指しているのか。


もし、高輪真も同じ考えであるなら、大量殺人犯とは言え

多少天然なのだろうと、馬鹿げた事を考えながら

小谷周平はみことに続いて6階フロアーまで上がって来ていた。


「所長達は大丈夫でしょか」

小谷周平の心配をよそにみことは「リュウに対しては対策済みだから、大丈夫」


彼の異能は分析済みなのは、みことも参加していた為、

所長の安否は気になるもののきっと彼らなら圧勝してくれると踏んでいた。


「それよりも、気配が強く成って来たから、気を付けて、間違えなく、この上にいるわよ。」


みことは、高輪真の確かな気配を感じながら最上階の屋上を目指していく。


この先にいる高輪真は間違いなくみことが今で相対して来たドの異能者より強力な力を有しているが

ここで引くわけには行かない。


そんな事を、みことは考えながらもどこか余裕さえ伺わせる感じがしていた。


小谷周平を守ると誓った研究所の襲撃から

みことはどこか高輪真との再戦を心待ちにしていたようなそんな感じさえ漂わせていた。


二人は最後の階段をゆっくり登りながら、

お互い頭の中で高輪真を打倒する為の作戦を

反芻していた。


この作戦は非常に危険を伴い二人の信頼関係が無ければ実行は不可能な作戦であった。


「周平さん。最後の確認です。」


みこては、小谷周平に対して階段を歩くペースに合わせたかのようにゆっくりと話しかけた。


「この先の戦いに勝利するには、あなたの力は欠かせません。危険に巻き込んで申し訳ないのですが。」


みことは、本当で有れば自分一人で高輪真を打倒する方法をいくつか考えたがどれも可能性が低くなかなか良い作戦が思いつかなかった。


「大丈夫です、もう覚悟してきましたから。絶対大丈夫」


小谷周平は自分に言い聞かせるようにみことの問いかけに対して返事をした。


この作戦を最初に話した時、彼。


小谷周平は真っ直ぐにみことの顔を見据えて、

作戦の実行を承諾した。


今までの小谷周平からしたら、考えられないほど、冷静に。


でも確かな自信が漲っていた。


「そう言えばみことさん。」


小谷周平はみことへ唐突に声をかけた。


「異能のSSを測るのにスカウターの様なものは無いんですか?」


アニメの見過ぎか?


そんな便利なものはないし、ここで聞く事では尚更ない。


みことは、「ないわよ。そんなもの」と

半ば呆れ顔で返事をした。


そんなやり取りをしている間に二人は屋上の

最後の扉の前まで来ていた。


「行くわよ」


みことは、小谷周平に一言かけるというよりは

自分に気合いを入れるように言い最後の扉を開けた。


そこは、都会の最上階に相応しく綺麗な屋外の

レストランになっていた。


そして、屋上の一番奥に高輪真は都内の情景を見るようにみこと達に背を向けって立っていた。


「お久しぶりですね。では、決着をつけましょうか霧崎みことさん」


高輪真はその絶対的な自信からかなり余裕そうであった。


「えぇ」

て短くみことは返した。


高輪真のその自信こそ。


今回みこと達を勝利に導く鍵となる。


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