第29話 挑発
数時間後、みこと達は警察や自衛隊と連携し高輪真の
潜伏先を捜索することに全力を挙げていた。
あの、テレビ放送時に数万人の人間が突然死をしていることは
高輪真の異能力が関係している事は間違えが無いだろう。
もし、この数万人の突然死が全国各地に同時多発的に起きていたら
それこそ、お手上げの状態であったと考えるとまだ都内だけであった
事が幸いなのだろう。
ただ、今回の事件は東京都民全員と豪語してはいるものの
死亡者の大多数に共通点があり、それは何かしらの
理由で高輪真の運営していた、宗教団体の関係者や信者と
つながりを持っている人間であり、かつ渋谷から新宿にかけての
範囲でのみ突然死が起こっていた。
完全に推測の域は出ないが、高輪真の異能は完全に無作為で
他人を殺す事が出来る訳では無く、特定の条件下のおいて特定範囲の
人間の魂を解放する事によって、結果的に
恐らくではあるが、宗教団体の関係者と信者に接触した人間に
なにかしらのマーキングを行い、そこを起点に周囲にいる人間も
巻き込んで数万人を殺害した可能性が高い。
マーキングした人間が誰かみこと達にはわからない以上
高輪真を叩く以外に事態を解決する方法は無く、このままで行けば、
また数万人が殺される可能性すらある。
まさしく、彼女の異能は
呼ぶべき脅威の異能力である。
そのことを考えて警察と自衛隊の混合チームで捜索に
当たっているわけであるが。
その、拠点の割り出しにはなかなか時間が掛かっており。
やみくもに街を捜索したと所で、
はずもなく、一同はいかにして彼女の所在を突き止めるかに
頭を痛めていた。
街には警察官が通常パトロールを兼ねて今回の事件の
注意喚起を行いながら、めぼしき場所や目撃者・不審者が
居ないかの捜査に当たり、自衛隊では盗聴器などの電子機器を
駆使して、テレビジャックの逆探知などを行ているが
いまだ成果なし。
数時間、何の手がかりも掴めてはいない。
やはり、異能者同士の特性を生かすねく、自分も町へ出て
足で捜査に当たるべきであろうか。
そんなみことの考えを見透かしてか工藤所長は
みことに対して、一言告げた。
「みこと君、歯がゆい気持ちはみんな一緒だから、
ここは我慢してね。」
所長はいつも通り優しい口調ではあるものの、どこか
怒りが込められており、今すぐにできることなら
自分も飛び出して捜査に加わりたいのが丸わかりだった。
それもそうだろう、今回の数万人の殺害もそうだが。
自分の研究所への襲撃、職員への暴行、みことや小谷周平への
狼藉を考えれば。
今、所長の怒りは頂点にあるのだろう。
これには、流石のみことも我儘は言えず黙って
所長の言葉に従うことにした。
そんな、やり取りをしながらみこと達異能者チームは
各所から上がってくる、目撃情報や不審者情報の資料へ
目を通すがどれも、偽情報であり、本物の目撃情報や
ヒントとなる情報は中々は上がって来なかった。
これだけ、都内中を探しても見つからないとなると
高輪真の異能は超遠隔で使用可能なのだろうか。
そうなると非常に厄介だ。
今、都内を離れて移動するわけには行かないし範囲も
全く絞れていないの中、やみくもに戦力や捜査人数を
バラけさせる訳には行かない。
そう考えていた時、再びテレビに彼女の顔は写し出された。
「まだ、私を見つかられないようなので
特別サービスです。」
と挑発的な物言いで
テレビジャックを行っている。
これがライブ映像なのかは判断不明であるものの、屋外である事もあって
居場所の特定は簡単であった。
これは完全に誘っている。
「霧崎みことさん。当然この放送は見ている事でしょうから
追って来なさい、決着をつけましょう。」
ここまでの挑発をするとは
誘い出してきた。
そもそも、このテレビジャックもそうだが今までの高輪真の
やり口からは、到底想像出来ない方法で彼女は挑発して来ている。
なにか、裏があるのは間違えが無いが
これは、みこと達にとっても好機であった。
何も、進展が無い状況は只々、疲弊していくだけであり
目標が定まれば士気も高めやすい。
間違えなく何かしらの罠があると思われるのだが
それでも、もう行くしかないだろう。
「場所はお台場内商業施設、アクアシティ周辺と断定。」
警察や自衛隊より先程の映像より場所を特定した情報が
上がってくる。
「自衛隊諸君は現場へ我々同行の上、周辺警護と情報収集を」
「警察各員は市中での事件勃発や便乗した犯罪行為に対処すべく
パトロールを継続。不審な情報を入手した場合や異能者を
目撃した場合は至急伝達の事。」
みことは、
すぐさま、いつも通りに各所へ的確な指示を出していた。
そして、自らも東京お台場のアクアシティへ向かって行く。
指示された各員も16歳とは思えない少女の気迫に士気が
高まり、機敏に持ち場へ着いていく。
今回の一連の騒動に蹴りを付ける為に一同は
打倒、
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