第19話 稀少な異能
小谷周平の異能がいかに特殊か。
異能者なら、その重要性は
十分にわかるだろう。
そもそも、人の願いをなんらかの形で具現化するとしても、
生命を復活させるのは、神にのみに許されし、禁忌の力。
そもそも、自分が生き返る事や不死身になるのであれば、
超速再生とかで、実現できそうであるが。
完全に絶命した後に、再び蘇生させる。
しかも、他者をだ。
おそらく、宗教団体壊滅事件の時に小谷周平は
一度絶命している可能性が高く。
その後に異能で自己蘇生をしたと考えられる。
それなら、やはり彼の話の通り異能を発現させる力、
方法を高輪真は会得しているのだろうか。
そして、彼に出現する異能がなにかも見当がついており、
事件を起こして、本当にそうなるかを試した。
それならば、辻褄は合うし考えられないことも無い。
まぁ、どちらにしても、彼の願いとそれを実現させる魂が
強力なのは確かだ。
「あなたは、気づいてないかもしれないけど」
「国宝級に凄いわよ.」
めずらしく、他人の異能をみことが褒めていた。
木崎もあまり見ない姿に少し驚きつつ、所長も
会話に入りながら小谷周平の異能が如何にすごいか
に関して同意している感じであった。
異能とは願いの具象化。
でも、大前提としてあくまでも、人間の能力の内であり、
人智を超えているからと言って、神の領域にはない。
それが、現在の異能に対する常識。
つまり、死んだ状態で異能を発動させるとか。
死者を生き返らせるのは、今の人間には不可能な領域で神の成せる技。
いずれは、人間も似た所へは到達できるかもしれないが。
今は人間がそこまで到達していない為、異能もそれを超える
ことは出来ない。
つまり、願いの具現化は、詰まるところ
人に出来る事を異能で代用する事に他ならない。
簡単に言えば、人間の到達している科学の範囲を
超えられないのが今までの異能の通例であった。
例えるなら、深海に生身では100mが限界でも
潜水艦なら1,000mまで潜れるのを、異能であれば生身で可能にする。
といった感じで。
蓋を開けてしまうと、なんとも詰まらない
結果となるケースが多い。
それが、なぜそうなるのか。
そもそも、どこかで意識は共有化されており
出来ないと大多数が考える事が具現化しないのか。
異能を司る神でもいて、神の領域に近づけないようにしているのか。
人の限界はここまでと、どこかで決められているように感じることが
異能には多々存在する。
「小谷君、本当に当時の事はあまり覚えてないのだね」
所長は、少し疑った様子で尋ねた。
小谷周平はその問いに対して、覚えていないと再度回答を行う。
覚醒当時の事もそうだが、使用条件についても小谷周平は心あたりが
無い様子であった。
これについては、使用条件だけでもどこかで、検証しておく
必要があるだろう。
そんな考えを工藤所長は頭の中で考えながら、さらに質問を
続ける。
「実は、先程の話とみこと君の考えから、もう一つ気になることが
有ってね」
それは”異能の覚醒方法”
これは、今まで研究はされているが、任意に覚醒させる事はおろか。
覚醒する見込みがあるものを特定する事も出来てはいない。
完全に偶発的に起こり、たまたまそれを
だれが発見するかよってしまっている。
高輪真≪タカナワシン≫はどうして小谷周平が異能に
覚醒すると見込んでいたのか。
彼女、高輪真≪タカナワシン≫は「やっぱり」と、
小谷周平に何かしらの異能が覚醒する事を予期していた発言を
残している。
そして、小谷周平の会話から元々異能者への覚醒の
見込みを持って接していた可能性が高い。
この疑問が高輪真の異能に関係しているのか。
それとも、別の要因なのか。
どちらにしても、高輪真≪タカナワシン≫サイドがこれらの方法を
確率していると、するならばこれは脅威になる。
どれだけ異能者を倒しても。
彼女本体を倒さなければ永遠に兵を増強され
みことサイドはジリ貧になってしまう。
そして、彼女自身の異能もかなり強力と来ている。
すでに、彼女側が優せ...
「所長、そこから先は考えないで。」
「大丈夫!!次は負けないから」
いや、一度死んでるんだけどね。
「根拠は何かあるのかね」
所長はみことを信じていない訳では無いが
今回はかなり慎重になる必要があると考えて尋ねた。
必要であれば戦力の増強を。
「固いわね。」
みことは、少し所長をからかい気味に反論していた。
「まぁ、高輪真の異能は”解放”がキーに成っている事は解かったわけで。」
「その場合、何が解放されるのか?解放が本質か?はあるけど
対策は立てられる」
「それに、一度死んで。
より馴染んだ気がするから」
「えっ、まさか、そんな事あるのか?」
所長はかなり驚いたようすでみことに尋ねた。
「私に聞かれても困るわよ」
自分の身体であっても、解からない事は多い。
異能に関しては特にそうだ。
発現する条件も個人個人でまちまち。
発現しても、他者に影響を与えるほどの異能に
成るかはもっと不明。
そもそも私の異能はもと...
「君の異能は小谷君と同様特殊だ。」
「いや、異能そのもよりも...」
みことは、それ以上は言わないで。
と言った表情で所長を見返している。
とは言っても。
今の状況に対して、希望を持ち
彼女に対して挑み、打ち倒すには。
ここのメンバーは知っていた方が良いだろう。
これからの、過酷な戦いの為にも。
みこと自身の過去ともう一つの力を。
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