第8話 休息
みことは、シャワーを浴びながらこれからのスケジュールを
考えていた。
研究所へは、ここから3、4時間はかかる。
今日の疲れもあるだろうから、これ以上木崎に無理はさせられない。
そうしたら、研究所への移動は明日の朝いきなり向かうより
もう一日様子を見た方が良いかもしれない。
研究所とは連絡はとれているわけだし、あそこと。
このマンションへの近々の襲撃の可能性は低いだろう。
そうなると、多少籠って体力を完全回復してから、
移動した方がベストかもしれない。
たとえ3、4時間の距離でも、異能者がさらに複数いた場合は致命的に
なる可能性もある。
一対一ならともかく、複数人を同時となると、話が変わってくる。
そう考えるみことは、明日一日を休養にあて、明後日の早朝にここを出発。
その日の午前中には研究所へ到着し、小谷周平の安全を今一度確保する。
このプランが一番良さそうだ。
みことは、考えが纏まるとシャワーから上がって、いつものように食事の用意を
使用と料理を始めた。
いつもは、一人分だけど、今日は3人分か。
明日はどうしようか。とそんな主婦みたいな事を考えているときに
小谷周平の余計な一言がみことの勘に触り、先程までの戦闘での
興奮も相まって、一瞬で殺気だってしまった。
「ごめんなさい」
小谷周平はすかさず土下座でもするのではないかと、思わせる行き良いで
謝って来た。
「別にいいわよ、そう見えないだろうし」
木崎は見えないように、二人のやり取りを見ながら、クスクスとバレないように笑っていた。
「木崎も、ごはん抜きかしら」
いや、バレてた。
「申し訳御座いません」
木崎もごはん抜き?じゃ。
小谷周平は俺の分は抜き決定か?
と思いみことに対して、自分の分も作って欲しいと
嘆願した。
みことは若干小谷周平をからかいながら、嫌だと突き放し。
くらいついてくる、小谷周平を交わしながら、しっかりと
3人分の食事を用意した。
「はい、さっさと食べて」
そうぶっきらぼうに言うみことをよそに男性陣は
みことの料理に見入っていいた。
あの短時間で、煮物に魚、玄米ご飯に、みそ汁にとなんと家庭的な
和食料理が並んでいた。
「あら、和食は苦手だった。」
みことの問いかけにたいして、小谷周平は
「いや、おいしそうで、食べるのがもったいないと」
「じゃ、いらないのね」
みことは、そういう小谷周平に意地悪するようにからかいながら
料理を下げようとする。
「いや、そうじゃないから」
「食べる、召し上がらせて頂きますので」
「さげないでぇー」
小谷周平へのいじりに二人は笑いながら、料理へ手を伸ばす。
「まずは、今日一日お疲れ様」
みことがそういうと、これからのプランは説明しだした。
シャワーを浴びながら考えた、例の行動プランだ。
「異論は」
二人ともみことの無理のないプランに対して特に異論はなかった。
少々、ゆっくりし過ぎている感じもあったが、正直明日は
一日動けない可能性が高く、小谷周平の身体はなれない経験の
連続ですでにかなり疲弊していた。
「では、これから、30時間後に出発」
今が、夜22時だから出発は朝ての早朝4時か思っていた以上に早朝だけれど
移動するなら、道も混んでないし良い時間帯のように二人も感じていた。
「じゃ、私は奥で寝るから」
「木崎、彼を適当な部屋へ」
分かりました、木崎が答え、リビングから出て少し離れた部屋へ
小谷周平を案内した。
そこは、ゲストルームなのか、ベッドや家具が一通りそろっている8畳程度の
洋室だった。
小谷周平はかなり疲れていたのか、案内された部屋で横になった瞬間に
今日一日の出来事を思い出す暇もなく、すぐに意識を手放し不快眠りに落ちて行った。
「彼は、大丈夫そう?」
みことが、案内から戻って来た木崎に尋ねる。
「はい、思っていた以上にタフですね彼」
そう、それは良かった。
みことの一番の懸念は彼の精神状態だった。
殺人現場に警察官の死亡、木崎への攻撃に異能者、
おまけに移動してる車への襲撃と、今日はてんこ盛りの一日だったから。
肉体以上に精神がやられているのではないかと心配していた。
「じゃ、木崎はいつもの所で寝てね」
「はい、そうします、みことさんもお疲れ様でした。」
そう、木崎の気遣いの声を聴いてから、みことは寝室へ
入っていった。
”ふぅ~"
さすがのみことも、今日一日の展開はかなり疲れていた。
まあ、自分ひとりであればこのくらいは経験したことはあるし。
これからは、今回以上の修羅場となる可能性もある。
やはり、誰かを護衛しながら移動するのは中々慣れない。
そう感じながら、今日一日の出来事を振り返り、そして、研究所到着以降の
スケジュールを頭の中で確認していく。
今朝、見せられた資料の内容に間違いが無ければ。
まだ、襲撃は続くだろう。
もしかしたら、いや、さすがに研究所は無いか。
でも、最悪は考えておくべきだろう。
取り越し苦労に成っても、それは構わない。
むしろ、万が一、研究所への襲撃があった場合に備えた方が
良い。あそこが無く成れば、色々と面倒になる。
そんな事を考えている内に、みこともそれなりに疲れていたので
気付いた時には眠りに落ちていた。
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