12/26

10:00

なんか…、もぞもぞしてる…。


一昨日と昨日で蓄積された睡眠欲で作業を一度辞めてリビングのソファーで1人寝ていたけれど、自分の体に他人の体温を感じたので目を開けてみる。


七海「おはよー。天ちゃん♡」


と、ななみんさんが私の顔目の前でイケメンを晒し、私の背中に手を滑らすようにして腕を腰に置いていた。


天「…おっ、おは…、え?」


七海「天ちゃん可愛い。抱かせてー。」


そう言いながらななみんさんは私を抱き寄せるように身を寄せて、顔を近づけてくる。


その顔にあるとても綺麗な鼻から少しお酒の匂いを感じた私はブランケットの中に逃げると、私の顔上にななみんさんとは別の手がやってきた。


「ちょっと…!お兄さん、やめてください。」


七海「なんだよ。彼氏じゃないんだろ?」


ななみんさんはいつのまにかこの部屋にいた渡辺に絶対にない事を聞く。


渡辺「やめてくれないなら今から彼氏になります。」


七海「だってよ。天ちゃん、俺とこいつどっちが好き?」


と、ななみんさんは私が隠れていたブランケットを剥ぎ取り、隠れる場所がなくなった私の目をじっと冷たい目で見てくる。


その目がおでこの傷を前髪で隠していた少し前のひぃ兄と似ていて、私は少しななみんさんに親近感が湧いてしまった。


渡辺「この人酔ってるから。とりあえず僕のこと好きって言っとけばいいよ。」


七海「酔ってないよーん。さっきまで仕事仲間と呑んでただけ。」


渡辺「酒は入ってるじゃないですか。」


七海「入ってるけど酔ってないの。俺は酒を嗜む派なの。」


渡辺「だったら大人しく寝ててください。日向に構わないでください。」


七海「やあだ。天ちゃんと一緒に寝るの。」


そう言ってななみんさんはこっそり逃げ出そうとしていた私に抱きつき、少しずれていた胸元を直すようにドレスを引っ張る。


渡辺「日向に触るな。」


と、渡辺は胸元にあったななみんさんの手を掴んで捨てた。


七海「天ちゃん、俺とゆっくり寝よ?なんもしないから抱き枕になって。」


渡辺「してるじゃないですか。」


そんな言い合いをまたし始めた2人の声が寝起きの私にはとてもうるさくて、考える思考が削がれているとななみんさんが私を抱きしめたまま立ち上がらせた。


七海「行こ?ベッドで寝たい?」


渡辺「ベッドはどこも空いてません。」


私はその言葉を聞いてななみんさんを連れて、夢衣ちゃんが寝てるはずのゲストルーム扉を開けてみると案の定夢衣ちゃんと来虎さんが2人で一緒に寝ていたのでお邪魔する。


来虎「…あれ。七海、今来た?」


と、来虎さんは私たちがベッドに乗る振動で起きてしまったのか、寝ぼけた顔でななみんさんに声をかけた。


七海「うんっ。天ちゃんと一緒に寝るの。来虎も夢衣ちゃんと寝れてよかったね。」


そう言うと、ななみんさんは私を押し倒すようにしてベッドに寝かせて本当に抱き枕にするように腕も脚も絡ませてきた。


これじゃあしばらくは作業に戻れないことを確信した私はこれからの事を考えて、また眠ることにした。



環流 虹向/天使とおこた

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