20:00

学校では散々だったけど、あそこの世界から一歩外を出たら楽しみしかない。


さっきまで私は夢衣ちゃんオススメのランジェリーが置いてあるデパートで、初めてのTバックとヌーブラとミニドレスみたいなスリップを買ってもらった。


天「こんなに買ってくれてありがとう…!夢衣ちゃんは誕生日なに欲しい?」


夢衣「天ちゃんが私のために選んでくれたものだったらなんでも嬉しいよ。」


天「え…、えっでも…2万円も使ってもらったし…。」


夢衣「んー…、じゃあ私のウェディングドレス作ってよ。」


天「え!?夢衣ちゃん結婚するの?」


夢衣「まだその予定も、彼氏もいないよ。早めに予約しちゃおっかなって♡」


ひぇえええ…。


ひぃ兄の元彼で1番可愛い夢衣ちゃんのウェディングドレスなんて…、何年あっても足りないよ!


夢衣「だからいっぱい服の勉強して、最高に可愛いの作ってね。」


天「もちろんっ!夢衣ちゃんはデコルテとおっぱいが綺麗だから出したいね!」


夢衣「ありがと♡おっぱいは今も育乳中だから決まったら改めて測って♡」


天「はーい!」


私は夢衣ちゃんと可愛いを共有しながら、ジャケットの試着をお願いしている来虎さんと待ち合わせ場所にした駅前の広場で通りすがりの焼き芋を小腹を満たすために買った。


その焼き芋を夢衣ちゃんと半分こし、暖をとって待っていると来虎さんともう1人の男性がやってきた。


夢衣「この人がななみん?」


来虎「そう。栄田 七海えいだ ななみ。で、こっちのボブが夢衣で芋持ってるのが天ちゃん。」


七海「初めまして。ななみんです♡」


と、ななみんさんは彫刻みたいな真っ白い肌に鼻先だけ赤らめて、黄金比過ぎるイケメンの顔で笑顔を振りまいた。


その顔に私はアイドルを推すという気持ちに初めて理解をすると、ななみんさんは私がのんびり食べていた焼き芋を勝手に一口食べてしまった。


七海「これは安納芋だね。」


天「いや、紅はるかです。」


七海「んー、バカ舌だから分かんない。」


そんなバラエティ味が強い七海さんを無視して夢衣ちゃんは座っていたベンチを立った。


夢衣「ちょっとトイレ。」


来虎「今から店入るつもりだよ?」


夢衣「我慢できないから駅のトイレ行ってくる!」


そう言って夢衣ちゃんは私を1人にしないためにずっと我慢していたトイレに行ってしまった。


七海「可愛い子だね。来虎との身長差は30㎝くらい?」


来虎「33㎝。ゾロ目。」


でかぁ…。


そりゃあのジャケットを着てみたらミニワンピになるわけだ。


七海「天ちゃんは?身長いくつくらい?」


と、ななみんさんは焼き芋を食べ終えた私の手を取り立ち上がらせると自分の胸の間に私を寄せて、自分の顎を私の頭頂部に置いた。


七海「いい顎置き見つけた!来虎、写真撮って!」


来虎「天ちゃんに失礼だから…。」


七海「えー…、だめ…?」


ななみんさんは私の頬に手を置き、顔を見上げさせると少し悲しげに潤目で訴えてきて私は視界のイケメンキャパシティを超えさせられ、ぎこちなく首を横に振る。


七海「いいってー。天ちゃん優しい♡」


そう言ってななみんさんは私を顎置きにして記念撮影をすると、次に私の肩を抱いて自撮りを撮り始めた。


天「…あ、あの。そんなに撮ってどうするんですか?」


七海「若かりしクリエイターと写真撮って、10年後にみんなに自慢しようかなって。」


来虎「そういうの失礼だから辞めな。ごめんね、天ちゃん。」


天「有名になれるかどうかも分からないんで…。けど、そういう風に言ってくださるだけで勇気出ます。」


私がそう言うと、ななみんさんはさっきとは違う優しい笑顔で私の頭を撫でておでこにキスしてきた。


天「…ぁ、…えと、え…っんと…」


七海「可愛い♡天ちゃんって恋愛未経験?」


来虎「もうそこら辺でやめろ。天ちゃんが困ってる。」


七海「女の子が困る顔って1番可愛いと思わない?」


そんなことを言い出すななみんさんから来虎さんは私を引き離すように腕を引っ張り、自分を中心にして壁を作ってくれた。


夢衣「ごめーぇん。トイレ入れなかった。」


私の顔から熱が引いて少しすると、半泣きの夢衣ちゃんが戻ってきたので私は夢衣ちゃんと来虎さんと腕を組んでななみんさんが入るスキをなくす。


夢衣「あれ♡天ちゃん、私と来虎の子どもみたい♡」


来虎「妹じゃなくて?」


七海「俺も俺も!」


そう言ってななみんさんは私のお腹に抱きつき、お店に入るまでとても歩きにくそうにコアラの子どものように私に抱きついてハンバーガー店に入った。


私はそれにも恥ずかしくなり、お店に入ってからも顔の熱が引くのに時間がかかってしまった。



環流 虹向/天使とおこた

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