12/30
10:00
全然、寝れなかった…。
しかも、夢衣にオススメされた漫画20冊読破してしまったから目のピントも若干合ってない気がする。
俺は買い出しを頼まれたのでまだ家でぐっすり寝ている莉李から夏を借り、素早く買い物を済ませていく。
けど、いつもの調子が出ない俺は早歩きに少し疲れを見せると夏はそれに気づいて歩幅を合わせてきた。
夏「来虎兄さん、疲れてます?」
来虎「昨日、なんでか寝れなかったから。」
夏「夢衣さんのことが恋しいんじゃないんですか?」
来虎「…また。なんでそうなるかな。」
夏「莉李に来虎兄さんの恋愛事情は聞いたので。けど、今回はなんだか違うって莉李の勘が言ってるそうですよ。」
と、夏はそばを通りかかかったお米コーナーにあるもち米を手に取り、俺の持っていたカートに入れた。
夏「本当に夢衣さんのこと、なんとも思ってないんですか…?」
来虎「なんとも思ってないこともないけど、ただ友達として少し心配事が多い子だなって思う程度かな。」
夏「例えば?」
来虎「元彼の家に行ったり、ベッド上で酒を浴びるように飲んでるとか。」
夏「そういうの教えてくれるんですね。なんでわざわざ夢衣さんは来虎兄さんに教えるんでしょう…?」
来虎「…友達だから?」
夏「構ってほしいからです。夢衣さんはちょっと寂しがりやだと思うので。」
そうとは思うけど…、昨日は七海がいたし楽しそうに飲み会してたからまた別だと思うんだけどな。
夏「けど、寂しくても来虎兄さんを1番に頼るのは好きだからですよ。誰も来虎兄さんの代わりが出来ないから夢衣さんは来虎兄さんを頼るんです。」
来虎「…でも、夢衣は元彼のことまだ引きずってるっぽいし、俺のことを1番とは思ってないと思う。」
俺が正直に気持ちを伝えると、夏はありえないという顔をして急に足を止めた。
夏「夢衣さんが来虎兄さんの前でする行動が1番好きな人の前でする行動じゃなかったらなんだと思うんですか…?」
来虎「…体だけ、みたいな。」
夏「夢衣さんはちょっと変わってる人だけど…、少し俺も似たとこあるから気持ちが分かるんです。」
来虎「似たとこ…?」
夏「自分のことを物扱いしてたことです。けど、俺は莉李がいてくれるからちゃんと人なんだって実感出来るし、仕事で嫌なことがあっても家に莉李がいてくれるから幸せな気持ちになるんです。」
来虎「…そんなこと思ってたのか。」
俺が思っていたより夏は自分を社会の歯車を動かすネジとして働き疲れていたみたいだけれど、莉李が夏を人間に戻してくれたみたいだ。
夏「あの時、夢衣さんがどんな顔をして『すぐに飽きられて捨てられる』と言ったか分からないですけど、それを望んで生きる人はいないです。だから、もし来虎兄さんが…」
来虎「待って。分かったから…、一旦この話は辞めにしよう…。」
俺は心臓が今までにない以上に痛くなり、少し息が浅くなってしまってるのを感じて夏の言葉を止める。
夏「…分かりました。だけど、夢衣さんは来虎兄さんのことを体だけで好きって思って一緒にいるわけじゃないのは知ってほしかったです。」
来虎「…分かった。今日の夜、夢衣と少し話してみる。」
俺は買い物を夏に任せて先に車に戻り、頭の中を整理させてもらった。
環流 虹向/ココのさきには
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