20:00
異常なし。
そういつも通っている内科の先生に診断されたけれど、ここ最近の体内の異常はただの気のせいとも思えない。
だけど、あの先生は東京に住んでいた時にずっとお世話になっていた医者に紹介された人だからヤブ医者とも思いたくない。
また、動悸や胃の気持ち悪さを感じたら母さんにでも相談してみるかと考えながら、俺は久しぶりに自分が心地いいと思うベッドに寝転がって1人の時間を夢衣がオススメしてくれた漫画を見ながら過ごしていると誰かからメッセージが来たと通知が入った。
俺はそのままその通知を押し、メッセージを開いてみると夢衣と七海が少し暗い室内で一緒に酒を楽しんでいる写真が送られてきた。
『ななみんと一緒に修行してる。』
というメッセージも夢衣は送ってきた。
七海とお互い交代してシェイカーの使い方を学んでいるらしく、何度も半端な量のカクテルの画像が送られてくる。
その数は時間が経つことに増えていって、その写真よりも多かったメッセージチャットの数は次第に減っていきだいぶ酔ってきたことが分かる。
それがどうしても心配で俺は自分から夢衣に電話をかけるとすぐに出てくれた。
夢衣『はー…いっ♡夢衣ですっ♡』
来虎「…だいぶ酔ってるみたいだけど大丈夫?」
夢衣『だいじょーぶ。お酒が呑める大人だもん。』
…大人でも酒に飲まれて大丈夫じゃない人たくさんいるけど。
来虎「七海は?」
夢衣『ぁい。ななみん、来虎が呼んでるー。』
七海『はーい♡俺の大好きな来虎くんどうしたー?』
七海もだいぶ酔ってるのか、いつもは言わないことを電話越しで伝えてくれた。
来虎「だいぶ酔ってるみたいだから大丈夫かなって。」
七海『酔っちゃうよーん♡今日からずーっとアル漬けなの。』
夢衣『ねー♡』
来虎「…ねー、じゃなくて。倒れないように気をつけてね。」
七海『倒れてもベッドで呑んでるから大丈夫なのだぁ…!これ、カメラつけてよー?』
夢衣『んー…っと?』
そんな言葉が交わされると、音質が変わりビデオカメラに切り替わったのでその画面を見てみると七海と夢衣が2人してベッドで寝転び、ストローを使って巧みに酒を呑んでいた。
来虎「…起きて呑んだら?」
七海『これがいいんだよー。夢衣もそう思うでしょー?』
夢衣『もー、眠いから話しかけないで。』
七海『やだやだっ。まだ作るの。』
と、マイペースな2人の会話が途切れたと同時にビデオカメラも消え、電話が終わってしまった。
…やっぱり調子が悪い。
俺は家にある救急箱から胃腸薬を取り、原因不明の胃の違和感に悩みながらまた漫画を読み進めた。
環流 虹向/ココのさきには
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