12/20
10:00
「じゃあ来週末に。」
俺はドライブがてらに車を駅まで走らせてくれた親に手を振って目的地の東京まで新幹線に乗り、1ヶ月以上前から会う約束をしていた
夢衣「おひさ。
と、2週間近く東京にいるには少々少ないと思われるボストンバック1つを指差す夢衣は少し色の抜けた黒髪によく合うミルクティーのような色のボアコートの腕を俺の腕に回し、抱き寄せた。
その感じが俺の妹といるみたいで久しぶりに自分が兄だったことを思い出す。
来虎「まあ、東京はなんでも揃ってるし、必要になったら買い足せばいいと思って来た。」
夢衣「そうだねー。コンビニもスーパーもそこら辺いっぱいあるし、妹ちゃんの彼氏くん家から3分でコンビニあるもんね。」
来虎「うん。そっち行く前に夢衣と遊ぶって連絡しといたから時間はたっぷりあるけど何する?」
俺はとりあえず昼食でもとろうかなと近場にあったマップを見ていると夢衣がきゅっきゅっと俺の腕を引いた。
夢衣「東京タワー行こうよ。」
と、夢衣はお腹が空いていないのか俺と東京観光をしようと提案してくれた。
俺は夢衣が案内してくれるまま、東京のシンボルタワーに行って麓にあるお店で買ったクレープを夢衣と半分こして小腹を満たしていると、不意に目に映った人が夢衣にカメラを向けた気がして俺はすぐさまクレープに夢中な夢衣の頬に大きく広げた手を乗せる。
夢衣「んー?どうしたの?」
夢衣はSNS界隈ではちょっとした有名人らしく、夏終わりに知り合ってから時々遊ぶけれどよく盗撮されているのを見かけるからとても心配だ。
来虎「また撮られそうだったから。」
夢衣「なーんだ…。ちゅーしてくれるのかと思ったよ。」
そう言って夢衣は盗撮を気にすることなくクレープをまた食べ始めた。
来虎「夢衣の彼氏じゃないんだからしないよ。」
俺がそう言うと夢衣はとても不機嫌そうに唇を尖らす。
夢衣「…彼氏じゃなくてもしていいのに。」
来虎「ダメ。一さんみたいな素敵な人のためにとっておかないと。」
俺は夢衣の元彼の名前を出し、納得してもらおうとするけどまだ不機嫌は直らない。
来虎「そのためにリップの色、変えたんだろ?」
夢衣「そうだけど…、そうじゃないもん…。」
ここ最近の夢衣の口癖をまた聞き、俺は本当にまた東京にやってきたことを実感すると夢衣が大口でクレープを食べきった。
夢衣「来虎と一緒にお風呂入る時に使うバスボム買いたい。」
来虎「一緒には入らないけど、遊び甲斐がありそうなの探しに行こうか。」
俺はまた夢衣に腕を抱きしめられ、夢衣がお気に入りの雑貨店に向かった。
環流 虹向/ココのさきには
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます