20:00
俺は夢衣にたくさん東京観光してもらった後、25日にあるクリスマスパーティーにしっかり誘われ、その時に来ていくドレスを選んでほしいと言われたので明日の夕食前に一緒に選ぶことにした。
来虎「2週間、邪魔するけどよろしくな。」
久しぶりに会った妹の
莉李「うん。夏は今仕事してるから先にご飯食べよっか。」
そう言って莉李は温め直していた水炊きを持って来てくれた。
来虎「ありがとう。こっち来て3ヶ月くらい経つけど調子はどうだ?」
俺は莉李の皿に具材を盛り付けながら初めての同棲生活の様子を聞いてみる。
莉李「すっっごい楽しい。あっちにいる時は来虎兄さんとしか遊んでなかったけど、今は夏の友達ともたまに遊んだりするんだ。」
来虎「よかったよかった。この部屋も相変わらず莉李使用になってて夏が莉李を大切にしてくれているのが分かるよ。」
俺は莉李の目に合わせてライトの光を抑えたり遮光シートを貼って光を遮断している窓や、友達が来た時に合わせて蛍光ライトで物の位置が分かるようになっている優しさ溢れる部屋を見回す。
莉李「してもらいすぎて少し気が引けちゃうけど、実家にいるよりこっちが住み心地がいいって思っちゃうんだ。」
来虎「…まあ、あっちは俺たちに合わせてるもんな。ごめんな。」
莉李「ううん!私が病気をほっといたせいだから!お父さんとお母さんも気を使わないで過ごしてくれてると思うし、みんな幸せだね。」
と、莉李は優しい笑顔を作るけど、俺が兄としていち早く莉李の不具合に気づいてあげればもう少しみんなと近い暮らしができたのかもしれない。
そう思って、目の手術をしてから光に弱くなった莉李のそばにずっといたけどそれだけじゃ現実は変わらなかった。
来虎「…莉李はクリスマス、夏とゆっくり過ごすのか?」
俺は莉李の作り笑顔を出来るだけ見たくなくて別の話題に逸らしてしまう。
莉李「うん。24日から25日の朝までは仕事だけど、そこから2日は休みもらったんだって。」
来虎「それは良かった。俺は夢衣と遊んでくるよ。」
莉李「
と、莉李は俺が誘われたパーティーの存在を知ってるらしくそう聞いてきた。
来虎「そう。瑠愛さんとは夏ぶりに会うからちゃんとした服着ていかないと。」
そう言ったはいいけど、服は最小限で動きやすいものしか持ってきてなかったのでどうしようか悩む。
莉李「何着てくの?スーツ持ってきたりする?」
来虎「いや、まともな服は今着てるシャツくらいしかない。」
俺はニット下に着てる白ワイシャツの襟をつまみ、莉李に見せる。
莉李「んー…。夏のは絶対身長的にサイズ感合わないし、来虎兄さんってどこ行っても服買えないよね。」
と、莉李は俺との座高を測るように俺の頭上に手をかざす。
来虎「まあなー…、この間は2年着てたスーツのボタンが胸板に耐えきれずに飛んでった。」
莉李「新調しないとね。そういえば夏の浴衣作った子がいるけど、その子にジャケットだけでも頼んでみたら?」
来虎「でも、もう1週間もないぞ?」
莉李「私が今着てるこのスウェット、土日の2日で作ってたよ?」
そう言って、莉李はポケットが前後ろ合わせて5つある利便性が高いスウェットを見せた。
莉李「一旦、話だけ通してみようよ。間に合わなかったとしてもすごくかっこいいの作ってくれるよ。」
来虎「じゃあ…、お願いしようかな。」
莉李「うん!ご飯食べ終わったら連絡してみるね。」
そう言って莉李は食事中だったけれど、楽しそうにクローゼットの中にあるその人が作った服を紹介してくれる。
俺は昔より笑顔が増えた莉李を見ながら昼食べれなかった分の食事を胃に入れて、腹も心も満腹になった。
環流 虹向/ココのさきには
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