第16話

「これ見ても平然としてられるって、もしかして、陰キャくん、中身、女?とか...?」


「ちげぇよ...。俺は外見も中身も男だよ...」


「じ、じゃあ、なんで、落ち着いていられるわけ?ふつーなら、襲ってきてもいいのに...」


「バカだな、おまえ。

説教する訳じゃねぇけど、こんなことしたら、

誘ってると思われて、何されても文句言えないんじゃ的、な話になっちまうだろ...?」


「それは、確かにそうだけど。陰キャくんなら、間違ってもそんなことにはならないと思って...!」


狼狽してた。


俺のこと。

滅茶苦茶慌てさせようとしてたと思うけど、

滅茶苦茶慌てたのは彼女だった。


ベッドの上に立ってるのが疲れたのか、

彼女はやや、腰をかがめて

俺に馬乗り一歩手前になった。


だから。


ちょっとした悪戯の意味も込めて。


俺は体勢を起こした後に、彼女を思い切り

押し倒してやったんだ。


「きゃっ...!」


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