【25】赤い昼⑤

 魔族化した教諭はエリスに向かって腕を振り回す。


 加護でスピードの増した彼女は軽々とそれらをかわしていく。


「これ、きっと先生じゃないわ。 だって馬鹿だもん」


攻撃をかわされ、ドンドンのめり込む教諭だった魔族にエリスはそう結論付ける。


 ある意味覚悟が決まった。


「クレオ、あなたに背を向けさせるからその時お願い!」


「わかった」


 エリスは徐々に半時計周りに移動していく。


 クレオも悟られない様に反対に回る。


「今だ!」


クレオは人の跳躍力を遥かに越えた高さまでジャンプした。


(加護すげー)


 木剣を真剣に変化させ、滑降と同時に振り下ろす。


 滑降の勢いと真剣の切れ味。それに加護で増強された押し負けない力で魔族を両断する。



 赤い血が流れる。



「やったわね・・・」


 クレオは口に入った魔族の血を吐き出した。


(同じ味がする)



 空から赤みが消え、太陽がまた顔を見せた。


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