【26】
太陽が元に戻り、校庭に出現した魔獣が一掃されると、ある程度落ち着きを取り戻す。
そうなると思いやられるのは、故郷や家族の安否。
そもそも他の場所がどういう状況なのかは分からない。
「お家に帰りたい」
そんな声が高まり教諭が数人、街の調査に出た。
それはだいぶ時間を掛けて戻って来て、院長に報告する。
「街中もここと同じ状況だった様だ。今は落ち着いて来ている様だが完全に安全とは言えないので、帰宅は町内に実家のある者のみ。複数人で行動し、教諭に了承を得る事。」
クレオ達は顔を見合せ頷き合う。
「マミアちゃん、アタシ達、行ってくるね」
「うん。気を付けてね」
「僕達も行くぞ!」
ギルスロットが取り巻き達を手振りで呼ぶ。
「すみません。」
そう言ったのは取り巻きのソヒトだった。
「なんだと?」
ギルスロットは面食らったのを隠すように威圧的に言う。
「ギルスロット様のお屋敷と俺達の家とは方角が違うので、お供出来ません。」
取り巻き全員がその様だ。
「お前達は僕の腰巾着だろ?だったらまず僕の家の安否が大事じゃないのか?」
(うわぁ、腰巾着とかお前が言っちゃうんだ。)
「いいな。僕の家に向かうぞ」
取り巻き達の表情が強張る。
「あーもー!侯爵邸ってウチの方角の先よね?だったらアタシが付いてってあげるからその子達解放してあげなさいよ。」
エリスが彼等のやり取りが煩わしかったのかそんな提案をする。
ギルスロットはいい顔をしていない。
「あんた達、後はアタシ達に任せてとっとと行っちゃいなさいな」
「ありがとう。」
ソヒト達が足早に去る。
「ちょ、僕はまだ了承してないぞ!」
「あんたもそんな事言って無いで納得しなさいよ。じゃないと1人で行く羽目になるわよ!」
ギルスロットは苦虫を噛み潰したような顔で押し黙った。
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