【12】部屋にて



「クレオ居る!?」


エリスが突然クレオの部屋を訪れる。


「ちょっ、ノック位しろよ!」


「いいじゃない。それとも変な事してたの?『変態』さん。」


 エリスのこういうデリカシーの足りない所を少しでも可愛いと思ってしまった事に頭を抱える。


「あんまり広く無いわね。」


 一人部屋はベッドと机、椅子がある程度。


「これなら二人部屋の方が広いかな。」


「エリス来たの?」


ロエルも扉の外から顔を覗かせる。


「ええ。ロエルは隣よね?」


「うん。角部屋。」


「じゃぁパーティーはロエルの部屋に決定。」


「え、いいけど。 エリスの同室の子はどうだった?」


「うん。いい子だよ。明日紹介するね。」


「それじゃぁその子も一緒にエリスの部屋でパーティーしようぜ。」


「それはダメ。」


「なんでよ?」


「女の子の部屋だよ?デリカシーないわね。」


「冗談で言っただけけど、エリスにデリカシーとか言われると腹立つぅ。」


「なに?」


「まぁまぁ。アルマンとも仲良くなれたらいいね。」


「そうだな。でもそれだといよいよ部屋に入らないな。」


「その時は別の所探せばいいよ。」


「そうね。じゃぁ、アタシ帰るね。お休み。」


エリスが手を振りながら出ていく。


「ホント嵐みたいな奴だな。」


「元気だよね。羨ましい。」


「ロエルはあいつを目指さなくて良いからな。」


「なんで?」


「あいつはあいつ。ロエルはロエル。あいつ目指さなくたって充分可愛いよ。」


 クレオの突然の発言にロエルは耳まで真っ赤になる。


「か、可愛いってっ、変な事言わないでよ。じゃぁね!お休み」


彼にしては珍しく扉をバタンと閉めて出ていった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る