【11】部屋割り
院長室で『祝福』の能力など、現状について話をし終え、校舎に行くと既にクラス分けと部屋割りが張り出されていた。
貼り出されて時間が立っているのか周りは落ち着いている。
「何で二人が一人部屋でアタシだけ二人部屋なの?!クラスも違うし。」
選別理由は表示されてないが、クレオとロエルはB組。エリスはC組だった。
1クラス20人で16クラスあり、個人成績以外にクラス成績もある。
その順位によっては小さな特典があるんだとか。
例えば、食後のデザートの質が上がるとか。
今は全クラス同率最下位で、特典無し。
「納得出来ない!なぜ僕が二人部屋なんだ!」
エリスと同じ事を男が取り巻きに言っている。
それがギルスロットだったので、エリスは口をつぐんだ。
「あいつら院長室に行ってたから賄賂か何か卑怯な手を使ったんですよきっと。」
取り巻きの一人がこちらに気付き、指差しながら言った。
ギルスロット達が近付いてくる。
「君達、どんな手を使ったんだ?」
ギルスロットは本気で言っている様に見える。
「普通に成績でしょ。見て分からないの?」
一人部屋は4部屋しかなく、技能上位のアルマンとクレオが割り当てられ、技能では目立っていないロエルともう一人が居ると言う事はおのずと学科上位なのだと推測出来る。
「あの『聖女』って奴、男らしいですよ。きっとあいつが院長のいろになったんですよ。『変態』の連れだから変態なんですよ。」
先程から憶測でものを言う取り巻き。
名札にはソヒトとある。
クレオはエリスすら驚くスピードで静かにソヒトの横に立ち、首に腕を掛けた。
指が二本、襟元に入っている。
「(お前、いい加減な事ばかりいってんじゃねぇぞ?)」
ソヒトは下半身に軽い痛みを感じ、直立して動かない。
「(分かるよな。これ以上ロエルの事卑下したら潰すぞ。)」
ソヒトは首を小刻みに縦に振る。
クレオはまた素早く元の場所に戻った。
クレオの伸びた指が襟元から出て来るのが一瞬見えた。
「ソヒトどうした?」
「い、いえ。何でもありません。」
いくら速くて、自分の後ろで起きた事だからといって、一連の出来事に気付いていないギルスロットに取り巻きですら少し引いている。
「まぁいい。君達、どちらか僕と部屋を交換しないかい?一人じゃ不公平なら僕と同室の奴とも変わって二人で二人部屋に住めばいいよ。 君達にも悪い話じゃないと思うけど。」
絶句して言葉も出ない。
(こいつ、ある意味天然だな。)
クレオは思う。
「よければ俺の部屋と交換しようか?」
突然アルマンが現れ、ギルスロットに言う。
近くに居たのか成り行きは理解しているようだ。
「君は確か、技能試験で1位だった奴だね。良いのかい?」
「ああ。構わないよ。」
「そうか。それじゃぁこれに免じて言葉遣いには目をつぶろう。」
「それは有難い。ついでに彼らも許してくれると嬉しいな。俺の友達なんだ。」
「・・・そうか。なら今回は許そう。 君も友達は選んだ方がいいよ。君とは仲良くなれそうだ。」
そう言ってギルスロット達は立ち去った。
「ありがとう。でも良かったの?」
ギルスロット達が見えなくなって、ロエルがアルマンに言う。
「ああ。元々あいつに提案しようと思って来たから丁度良かったよ」
とアルマン。
「二人部屋の方がいいなんてあなたも変わってるわね」
「あいつと同室の奴が俺の親友でね、あいつとだけは嫌だって懇願されたんだよ」
「なるほど。確かにあいつと同室なんて取り巻きだってやだろうな」
「それなら良かった。あ、ボク、ロエル。宜しくね。」
「アルマンだ。君も二人と同郷なのかい?」
「同郷っていうか、同じ孤児院出身だよ」
「そうか。その孤児院は優秀な奴ばかりなんだな。」
「まぁね。アタシ達は特にだけど」
「エリス、すぐ調子に乗るのはカッコ悪いぞ。」
「女の子だから格好良くなくていいし」
「可愛くもない上にカッコ良くもない。」
「なんだと?」
エリスが胸ぐらを掴む。
一連の流れにアルマンも笑ってる。
「君達は仲良いな」
「うん。アルマンの親友にも会いたいな」
「ああ、明日紹介するよ」
「うん。それじゃぁまた明日ね」
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