【10】院長室



 クラス分けと部屋割りを待つ間、


クレオ、エリス、ロエルは呼び出され、院長室に来ていた。



「珍しい『祝福』を授かったと聞いて、来て貰っただけだから固くならなくていいよ。」


 院長室は誰もが想像出来そうなオーソドックスな校長室そのもの。


「君達は三人ともコーサス児院の出身なのだな。」


ターンヒル院長はカルテの様な物に目をやる。


「あそこのゴロイド院長とは旧知の仲でね。彼は元気かい?」


「はい。」


「彼の教育方針も変わらないのかな。」


「たぶんそうだと思います。日頃から『鍛錬と勉学に励んで、学院で良い成績残して良い職業に就いて、大いに稼いで自分と児院を潤せ』と仰ってます。」


「はっはっは。変わらない様だね。君達の成績からも伺える。」


 威圧的に見える院長だが、意外と可愛らし笑顔をする。


「今後、祝福について経過観察する事になるが、それで成績が良くなる事はないから慢心せず励んでくれ。」


(なんだ、贔屓はしてくれないんだ)


クレオは少し残念に思った。


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