【9】決勝
試合開始直ぐにアルマンの猛攻を受ける。
それをすんでの所でクレオは防ぎきる。
「やっぱ、強いなぁ」
「君だって。全て防いでるじゃないか」
「ギリギリね。」
クレオはそう言うが、後退りしたのは三歩ほど。
「クレオがんばれー!」
エリスの人一倍大きな声が聞こえる。
「彼女とは知り合いなのかい?」
「ん?ああ、同じ孤児院で育った兄弟みたいなもんかな」
「へー、一緒に訓練もしてた?」
「そうだね。1度も勝ったこと無いけど。」
「なるほど、通りで強い訳だ。」
アルマンが矛先を低く構える。
その構えは一撃必中を連想させる。
「おいおい、聞いてた?オレ、エリスに1度も勝ったこと無いって言ったんだよ?」
「でも、簡単には負けなかったんだろ?」
「まぁ確かにね。」
「立ち回りは君の方が優れている様に思えるから、本気で行かせて貰うよ。」
「マジかよ!じゃぁ『祝福』の能力使って見てもいいか?」
「構わないけど、それは言わない方が奇襲になったんじゃないか?」
「棚ぼたな力で不意打ちってどうなの?まぁ、どんな能力なのかはお楽しみに。」
「変わった祝福なので、いぶかしんで居たのだか、正味、君は誠実なんだね。」
「『変態』は『卑怯者』じゃ無いだけだよ。」
「なるほど。それじゃぁ行くよ!」
アルマンが先程までの倍速い突きを繰り出す。
(これは避けられない!)
そう思ったクレオの木剣が盾へと形状を変える。
「!」
アルマンは驚いていたが、力を緩める事なく盾に一撃を喰らわす。
その衝撃で後ろに倒れ込んだクレオの首元にすかさずもう1突き。
「それまで!」
アルマンの勝利だ。
「完敗だわ。」
「そんな事ないだろ。剣がもっと伸びてれば相討ちかそれ以上の結果だったと思うよ。」
最後の1突きの時、クレオも能力で刃を長く伸ばし喉元狙っていたのだが、拳2個分届かなかった。
「まだ慣れてないから目測見余っちまったんだよね。」
クレオはそう言い訳する。
実際その通りなのだが、見余ったのではなく、間違って喉に当たってしまう事を恐れたのが本音。
それは恥ずかしいので誰にも言わない。
ただ、ロエルはクレオのそう言う所に気付いてる。
「これにて試験は終了。 後程、クラスと部屋割りを校舎に張り出すので、それまで自由時間とする!」
審判を務めていた先生の号令で一時解散となった。
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