第47話 天空の温泉

「あ〜生き返る!」

「にゃ〜〜〜‼」

 開放感のある露天風呂。

 俺とニャーは温泉に浸っていた。


「はぁ……」

「にゃぁ……」

 ここ数日の疲れが吹っ飛びそうなほど極楽な気分だ。

 ここの源泉は大地なる世界樹アースユグドラシルから湧き出しているらしい……。

 本当にこの世界のことは何もかも考えられない事ばかりだ。

 この湯にどういう効用があるのか分からないがエメラルドグリーンのこの湯に入っただけで、体中に魔力マナが行渡っているのが分かる。

 どこまで澄み渡る空の絶景を見ながら入る温泉、本当に最高だ。


 しかし、この世界で一番高い場所へ登れば元の世界へ戻る方法も分かるかと思ったが――ここまで特に何もない。

 頂上にあったこの天空の街で本当に何か手がかりは見つかるのだろうか。

 そもそも、俺たちはここよりもずっと高い場所から落ちて、この世界にやってきたんだよな……。

 空をぼーっと見渡すが、綺麗な空が広がるだけで特に何も見当たらない……。

 さて、これから一体どうやって手がかりを探そうか……。



「アヤメって髪長いのに、キレイだよね!」

「そうかな?」

「何かケアしているの?」

「うん、前に旅していたところで貰った植物の樹液のおかげかな?」

「えっ、いいな〜。私なんかもう髪の毛ボサボサで毎日の手入れが大変だよ!」

「そんな事無いよ。レイナだって綺麗な髪しているじゃん!」

「そんなことないって‼」

 レイナとアヤメは楽しそうだな……。

 二人の楽しそうな話し声を聞きながら、無心で温泉に浸っていた。


「じゃあ、こっちが大きいのも何かケアしている?」

「いやんっ、レイナ、いきなり触るのはダメだって!」

「いいじゃん! ちょっとぐらい! うわー、すごく柔らかいね!」

 ……うんうん、俺も触った時もすごく。

 ……って、こんな話を盗み聞きしてていいのか俺は?


「レイナもすぐに大きくになるよ!」

「そうかな? 大きくなればいいけど……。ねぇ、こっちはどうしたらアヤメみたいになるの? こっちには何してるの?」

「何もしていないよ」

「本当に?」

「あ、いやんっ、レイナそれ以上強くするのは……」

「やだ、アヤメが本当の事を話すまで離さない!」

「ちょっと、ホントにそれ以上は……ら、らめぇ〜〜‼」

 おい、なんか、二人ヤバい展開になってきたぞ……。

 このままずっと聞いていたいけど、こっちまで火照ってきて、上せそうだ……。

 先に上がろう……。

「にゃ〜〜〜〜〜〜〜〜?」


     * * *


 俺たちは再び街へ出掛けていた。

「しかし、元の世界へ戻る手がかりなんて、どこに行けば見つかるんだ?」

「そうだね。誰かに聞くとしても誰に聞けばいいか分からないし、そもそも信じてくれるか……」

「ねぇ、二人とも? 二人が元居た世界の手がかりがあるかどうかは分からないけど、あそこへ行ってみない?」

「あそこって?」

 アヤメが指差したのは、街の中央にある丘の上。

 その上に一本だけ大きな木、いや、建物が建っていた。

 他の建物とは一風違う円形のとても変わった形をした建物だった。

「あの建物は何かしら?」

「多分、天文台じゃないかな! 屋根が空いていて、ほら大きな望遠鏡らしきものが!」

「よし、じゃあ、まずはあの場所まで行ってみようぜ!」

 俺たちは丘の上へと向かった。

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