第34話 宝物
「たああああああぁ――――――!」
俺とコスモは船上の無数のガイコツを倒していった。
コスモの竜巻の様な矢は気持ちいいほど目の前の敵たちを一掃していくが、
「キャ――――⁉」
コスモは急に叫び声を上げた。
目の前の敵ばかりに注意を取られ、後ろからやって来た敵に気付かず、ガイコツに抱き抱えられてしまったのだ。
そして、身動きできない状態に……。
「やだっー、離してー!」
ガイコツに掴まれながらも何とかジタバタと抵抗する。
「レイナー!」
俺は大急ぎでレイナの元に向かい、纏まり付いたガイコツを斬り倒す。
「たぁああああ――――! レイナ、大丈夫⁉」
「ありがとう、エン……。けど、どうやら私たち、ガイコツたちに完全に取り囲まれたようだわ……」
全方向から近寄るガイコツたちに囲まれた俺たち。
もう逃げ場はない。
マズい……。
俺はふと上を見上げた。
「レイナ、あそこまで登れる?」
「あの、見張り台? 何とかジャンプで届きそう!」
「ここは俺に任せて、レイナはあそこから攻撃して!」
「でも、エンだけで大丈夫……?」
「大丈夫、俺だけじゃない!」
「ニャー!」
ニャーも声を上げる。
「分かったー! エン、ごめんなさい……」
「上からの援護攻撃、頼んだぜ!」
「任せて!」
――ビュ―――ン‼
レイナはその場で風を起こし、高く舞い上がった。
「すげー、ジャンプだな!」
そして、帆柱の見張り台まで舞い上がると、そこからすぐに弓を射る。
四方八方、俺を取り囲むガイコツたち。
「行くぜ! たああああああああ――――――‼」
ニャーと一緒に次々に敵を斬り倒していく。
「ニャー⁉」
「こっちか! たあああああああ―――――‼」
「ニャ――――‼」
危ない時は、ニャーも猫パンチで攻撃。
「サンキュー! ニャー‼」
俺たち二人のコンビネーションで敵を片っ端から倒していく。
「やああああああ―――――‼」
――ビュ―――――――――ン
そして、見張り台からはレイナが矢で射抜く。
船上から船の側面を登るガイコツたちと次々と綺麗に一掃していく。
しかし、しばらくして、
「エンー! ダメー! そろそろ矢が無くなりそうー!」
「ホントか、レイナ‼」
何してるんだ、カイ!
早く戻って来てくれ!
* * *
大部屋の中。
カイは目の前の堂々と椅子に座るガイコツに触れた。
「曽祖父さん、ここで眠ってたんだな! ようやく、見つけたぜ!」
ガイコツの顔にかかったクモの巣と誇りを綺麗に払い除ける。
「祖父さんも父さんもこの船はもう存在しないって言ってたけど、やっぱり、あるじゃねーか!」
ガイコツが被った立派な海賊帽を手に取る。
「悪いが、曽祖父さんの帽子と剣と、それにこの船は俺がいただいていくぜ!」
そう言うと、カイは海賊帽を被った。
すると、ガイコツは突然、砂となり消えていく。
――再びこの船で、世界中の海で大暴れしてくれ――
消えていくガイコツの口が動き、どこかから声が聞こえた。
「あー! もちろんだぜ!」
カイは砂として消えていくガイコツの腰からから細長い剣を抜き取り、部屋を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます