第33話 骸骨

 一体のガイコツがぞろぞろと近づき、今にも襲い掛かろうと迫る。


 ――バ――ン


 カイは銃の引き金を引き、水弾でガイコツを弾き飛ばす。

 被弾した箇所の骨が砕けるが、それでも立ち上がるガイコツ。

「ちっ、効かないか……」

「ねぇ、アイツら不死身なの?」

「いや、恐らくどこか急所を壊せば死ぬかと思うが……」

「今度はこっちから、俺に任せろ! たぁ―――――!」

 もう片方から近づいてきたガイコツの首を俺は斬り抜いた。

 頭と胴体が分かれ、床に倒れるガイコツ。

 しかし、カタカタと不気味に震えながらも、首なし状態で再び立ち上がるガイコツ。

「くっそ、まだ動きやがる……。じゃあ、これでどうだ――‼」

 俺は地面に転がるガイコツの頭蓋骨を粉砕した。

 しかし、頭を破壊しても、首なしガイコツは動き続け、襲い掛かる。

「嘘だろ……⁉」

 ガイコツは目の前にまで迫った。

「仕方ない、たあああああああああああ―――――――――――――!」


 ――バ――――――――――――ン‼

 炎を宿した《炎光の剣》でガイコツを跡形も無く、燃やし尽くした。


「どうだ!」

「エン、ナイス! どうやら、ガイコツは胴体まで粉々にしないと動き出すようね!」

「どうやら、そうするしか無さそうだが、この数を相手にするのはちょっとヤベーぞ……」

 しばらく気付かない内に大勢のガイコツたちは船上へと上がり、俺たちを取り囲んでいた。


「私に任せて! いけ―――――!」

 レイナは勢いよく弓を射る。


 ――ビュ―――――――――ン


 放たれた矢は突然、竜巻の如く、激しい渦を纏った。

 そして、ガイコツたち目掛けて突き進み、次々粉々にしていく。


「すげー! これがレイナの力……!」

 レイナの弓の威力は凄いものではあるが、攻撃範囲は直線方向のみ。

 四方から襲い掛かってくるガイコツ全員をとても相手しきれない。

「ダメだわ……。とても、数が多すぎる……」

「くそー、こいつら、一体何体いるんだ?」

「分からないが、とりあえず片っ端から倒していくぞ!」

「おう!」

「はい!」

 俺たちは手当たり次第に目の前のガイコツを倒していった。

「ニャ――――‼」

 ニャーも猫パンチで加勢する。

「ウェン‼」

 ウェンギンも身軽に跳び回り、ガイコツを床へと押し倒す。

 ――バーン

 そして、小さなピストルで胴体を撃ち砕いた。

 全員でガイコツと戦うが、それでもあまりにも数が多すぎる……。

 倒しても、倒しても数が一向に減る気配のないガイコツたち。

 まるで湖の底から無限に復活しているかのようだ。


「ホント、キリがないわね……」

「このまま戦いを続けても敵の数は減っていかないし、ダメじゃないのか?」

「そうだな……」

 カイはある事を考えていた。

「……この船、もしかして……。よし、お前らいいか、ここを頼む!」

「おい、頼むって……カイ、何する気だ?」

「しばらくの間でいい! この扉の前を守ってくれ!」

「カイ、お前はどこへ行くんだ?」

「俺はこの船の中である物を探してくる! キャプテン、行くぞ!」

「ウェン!」

「ある物って……おい、カイ……!」

 既に、カイとウェンギンは扉を開き船の中へと向かった。

「くそっ、カイの野郎め!」

「エン、仕方ないわ。カイさんの言う通りここは二人で守るしかないわ!」

「あぁ!」



 ――ビュ―――――――――ン

 放った矢の竜巻が直線上に敵を粉砕していく。 


「たああああ―――――!」

 そして、残った敵は俺が斬り倒す。

「ニャー⁉」

「後ろか⁉」

 肩に乗るニャーが常に敵の位置を教えてくれていた。

 おかげでこれだけが数が多くても死角にいる敵にも、いち早く反応できる。

 ニャーと俺、二人一組となり戦い続ける。

 しかし、どれだけ倒しても減っていかないぞ……。


「はぁ……はぁ……、ヤバイ⁉」

 後ろから迫ってきたガイコツ。

「ニャ―――‼」

 危なかった……。ニャーの猫パンチでなんとか助かった……。

「すまない、ありがとう、ニャー!」

「ニャ――?」

「そうだな、こんなところでへばってられないな!」

 俺たちは止まることなく、次々と敵を倒していった。



      * * *



 一方、船内へと入ったカイとウェンギン。

「にしても、古臭くて、汚ねーな!」

 何年も放置されていた船内にはあらゆる所に苔が生え、蜘蛛の巣が張り巡らせれていた。

 それらを払いのけながらも船内を進んだ。


「キャプテン、そっちはどうだ?」

「ウェン!」

「そうだな! あの部屋が怪しいな!」

 細い廊下を突き抜け、奥の大部屋の前に辿り着いた。

「ここだな!」

 扉を開けた。

 すると、そこは無造作に武器や宝箱が床に転がっている部屋。


「ビンゴ……!」

 カイは部屋へと入る。

 そして、部屋の真ん中にある豪華な椅子の前に立つ。

 椅子の上にもガイコツが座っていた。


「ようやく会えたな……」

 ガイコツに向かって話し掛ける。


「曽祖父さん!」

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