第35話 窮地
一方、船の上。
「エンー! もう、この矢で最後だよー!」
「分かった! こっちは俺が守るから、レイナでそこでそのまま居てくれ!」
「ごめん!」
「くっそ―――‼ いつまで戦えばいいんだ!」
俺とニャーはひたすら目の前のガイコツたちを倒していき、カイが戻るのを待った。
「はぁ……はぁ……、さすがにもう限界……」
剣に宿した炎も徐々に小さくなっていき、どうやらもう
スタミナも切れ始め、視界もだんだんと狭くなっていく。
「もう、こっち来ないで――!」
いつの間にかレイナに元には帆柱を登り迫るガイコツたちが……。
「やぁああああ―――――‼」
レイナは風の魔法で突風を起こし、登り来るガイコツたちを追い払うが、下からは次々に新たなガイコツが迫っている。
「ダメ……。私の
「きゃぁ―――‼」
ついにガイコツに腕を掴まれてしまった。
「ダメダメダメ……そんなに掴まれたら落ちちゃう……」
くっそ、レイナが……。
カイにこの扉の前を守れと言われたが、仕方ないレイナを守る方が優先だ。
「レイナ、今、助けるから!」
しかし、レイナの元へ向かうにも、大勢のガイコツたちが邪魔をする。
「くっそー、この数のガイコツはもう俺には倒しきれない……」
ガイコツたちに引っ張られ、今にも見張り台から落とされそうなレイナ。
「ニャー、俺はいいからレイナを助けて!」
「ニャー‼」
ガイコツたちの頭上を飛び越え、レイナのいる見張り台を登っていく。
「ニャ――――‼」
レイナにしがみつくガイコツを猫パンチで叩き落とす。
「ありがとう、ニャーちゃん! 助かった……」
「にゃ――!」
「わぁ―――⁉ 離せ―――――‼」
「エン!?」
俺は背後から襲ってきたガイコツに抱きつかれると、その場に剣を落としてしまった。
そして、一気に両腕を掴まれ、身動きが取れない状態になった。
「ニャーちゃん、大変、エンが……!」
「ニャ……ニャ……ニャ……!」
見張り台にも間髪を入れずに、次々にガイコツたちが登っている。
ニャーもこの数を相手をするので精いっぱいでその場から離れられずにいた。
「エン――! 待ってて―――!」
レイナは見張り台から降りようと、試すが、風を起こそうとした腕をガイコツに掴まれてしまった。
「キャ―――! もう、離してよ―――!」
「ニャ……ニャ……ニャ……ニャ――!」
またしても猫パンツによって、レイナは助けられたが、ニャーももうヘトヘトで助けにいける状態ではない……。
「放せ、こら! やめろー!」
一方、両腕をガイコツに掴まれ身動きの取れない俺は、ガイコツたちに引きづられていた。
そして、どんどん船の外へと運ばれていく。
「おい、ちょっと待て! まさか!」
俺を湖の底に沈めるつもりだろうか。
「くっそ、放せ――! このガイコツ野郎!」
ジタバタと暴れ、ガイコツを蹴り飛ばして抵抗する。
しかし、次々から次々にやってくるガイコツにまたすぐに抑えつけられて、再び引っ張られていた。
このままだと、本当に湖に沈められるぞ……。
くっそ、こんな所で死にたくない……‼
カイ、一体、何してるんだよ……‼
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