5月11日(鶴舞→徳嶺)
徳嶺副主任
最初に言わせてください。あなたに健康の心配をされる筋合いはありません。なんですか22連勤って! 働きすぎです!! 事前に教えてくださっていれば私、2連休なんて頂きませんでした!
がんばり屋さんな性格なんだな、とは前々から感じており大好きポイントの加算に一役買っていましたが、程度がおかしいです。おかしい……ですよね? 私の感覚、合ってますよね……?
以前、(ゴールデンウィーク並みではないにせよ忙しかった休日に)どうしてそんなに頑張れるのですかと零した私に副就任はこう言いましたね、『キーワードは明鏡止水。心を殺せば乗り越えられないものはありません』と。
副主任、労働は労働です。人が人らしく生きるために金銭を得る手段の一つでしかないのです。明鏡止水に至りたいのであれば滝行でもホットヨガでもいいので、もっと健全な方法をお試しください。
先月の日記でも副主任は私に体のコンディション、特に3つを気をつけるようにと掲げていました。
このままでは副主任のトイレ使用時間が延び、メイクの度にため息を
お預かりした日記も悲しいかな、筆圧は弱いし文字数も少ない! 心配になる要素しかないのです! おかげさまで体の休息は取れましたが心は重く痛むばかりでした。
家族との予定をキャンセルしたのは副就任の読み通りですが、理由は体の疲労では有りません。あなたが死地を彷徨っているのに、私が無邪気に楽しめるとでもお思いですか?
しかし死地へと援護に出向く余力はありませんでした。貧弱な新入社員をどうか叱ってください。
私はいろいろあってうだうだうだうだ、人様には決して見せらないような暮らしをのんべんだらりと貪り、ぐーたらしつつぶーすか言いつつ生きていたダメダメ人間です。
でも、副主任と一緒に働きたいと思って社会復帰することができました。
副主任のおかげで、常連さんを呼び間違えて怒らせることが減ってきました。
メイクやお洒落も勉強し直し始めました。
読書だって2週間あれば一冊読めるようになってきました。
私はミステリーが好きだと知ったのも副主任のおかげ。
ずっと灰色だった毎日をようやく楽しいと思えるようになったのは副主任のおかげなんです。
だから、絶対、体には気をつけてください。
もしも副主任が倒れてでもしたら……労基に駆け込んでいろんな人の人生を狂わせることもやぶさかではありません。
シフトならいくらでもいつでも代わります。残業だってサービスしちゃいます。マッサージも(私のやり方に口を出さないという誓約をしていただけたら)承ります。
その他諸々、私という存在を存分に活用していただければ至上の喜びと存じます。
経験も知識もセンスありませんが、根性とやる気とガッツだけはありますので御一考くださいませ。
それでは!
タウリン5兆億千万配合、鶴舞 虹子より
人生の指導者、徳嶺 千束様へ
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