手探りの5月
5月9日(徳嶺→鶴舞)
鶴舞さん
そんなわけはないと思いますが、一応こう始めます。お元気ですか?
新人社員特有のキラキラしたオーラが、押し寄せる客の活気にあれよあれよと吸い取られ、どす黒い疲労困憊を背中と目のクマに粛々と宿していく様は見ていて非常に胸が苦しかったです。
だから言ったでしょう? 決してゴールデンウィークを舐めてはいけませんと。
『副主任パワーがあればどんなことでも乗り越えられます!』じゃあないんです。そもそも副主任にそんなパワーがないのに、どうして力を分け与えられるというのでしょうか。
自分を生かすだけで精一杯な、非力な副主任をお許しください。
ですが一つ、ご安心を。忙しくなる連休の中でもゴールデンウィークは最弱。
これから暑さが本格的になる頃には二番手の『お盆』、そして寒さが本格的になる頃にはサービス業労働者にとって邪智暴虐の王とも呼べる『年末年始』が意気揚々と殴り込んできます。
ウォーミングアップは十全でまだまだ戦えそうですか? それともギブアップして次の職場を探しますか? 私としては断然後者を推します。鶴舞さんのように前途洋々な若者が、こんなところで潰れるなどあっていいはずがありません。
せっかくのお休みに盛り上がらない話題を出してしまいましたね、すみません。
現在、鶴舞さんは世にも珍しい2連休を堪能していることと思います。何か予定は決まっているのでしょうか。
お友達とお買い物や映画に行ったり、ご家族とお出かけになったり。なにか目新しい出来事に遭遇したら、是非教えてくださいね。
私の予想としましては、如何に予定が埋まってようともあまりの疲労に体が動かずキャンセル三昧、なのですが、如何でしょうか?
いえ、私が新人だったころと鶴舞さんの今を比べては失礼ですね。
あなたは十年前の私より十倍パワフルで、十倍明るく、十倍おっちょこちょいです。
おかげでこの職場は前に比べて随分明るくなりましたし、だから従業員達は、そんな鶴舞さんにメロメロになりつつありますよ。
(常連さんからはまだ厳しい目で見られていますが。)
少し短いですが今日はこの辺りで。
どうかお体を労ってください。それでは。
十年前と変化がない元新人社員、徳嶺 千束より
愛すべきおっちょこちょい新人社員、鶴舞 虹子様へ
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