第6話 陰謀
〜魔界選挙掲示板前〜
「……へえ、すごいねエルン一体どんな手をつかったんだい?」
「あ!カイラさん!ここにいらしてたんですね!」
「マーズ君、おはよう。」
ここは城下町にある魔界選挙掲示板前だ。
「魔界選挙掲示板」とは各立候補者の経歴や年齢、それだけでなく得票数自体は今は伏せられているが、立候補者が今何番人気かが掲載されている。
「カイラさん!昨日解散した後、エルンがみんなの前であのエリオットをボコボコにしたんですよ!マジックバトルで!」
「エリオットって、あのエリオット・バーンデッドかい!?各大会で好成績を残し、あのルックスで魔界女性からの圧倒的な支持を得ているというあの男をか…さすがエルン、私の…いやあの人の見込み通りだね!」
「あの人?」
「い、いや、気にしないでくれ」
エリオットとの魔法勝負からエルンの人気は段々上がって言った。もちろんそれをよく思わない者もいた。
〜???〜
「突然だが、エルン・ノワールについてどう思う」
「エルン・ノワールぅ?あぁ、あいつね、急に1番人気になったインチキ女野郎な!」
「…正直僕もあの順位には納得がいかない。そこでだ、エルン・ノワールを【潰さないか?】」
「はっ、面白ェ!あいつどうやらコンテストでどうやら活躍しているようだが俺らには関係ねえな!」
「…そうだね、だが、奴は勇者を初級術で殺したらしい。」
「…おい、オレサマをバカにしてんのか?」
「バカになんてしてないさ、一応【念には念を】ね…」
「まあ、対策なンて無くてもぶっ潰すだけよオ!」
「…一応作戦を伝えておくよ。…どうだい?君も参加しないか?アイツにズルされて悔しいだろう?……エリオット・バーンデッド」
「………」
数日後……
エルンは他の立候補者の視察ついでに街に買い物に来ていた。
「リンゴンの果実と……ビックピッグの肉と…」
「失礼、君がエルン・ノワールだよね?」
「……誰?」
「私は【魔界選挙管理委員会】のアルマ・レストフと申します。貴方の活動に不正の疑いがあるので貴方に質問をしに来ました。」
「…いいよ、話なら受ける」
「ではこちらに。」
………
〜魔界商店路地裏〜
「あなた、ほんとに管理委員なの?」
「………」ニヤア
「!?…ッ」
突如エルンは縄で拘束される。
メガネをかけた「アルマ」の隣に黒い羽が生えた金髪の男か現れる。
「…やっぱりね、最初から怪しいと思ってた」
「やるなァ、アルマ。こんなやり方しなくてもぶちのめせたけどなア…」
「計画通りですよ。ドラーグ」
「何がっ、目的なのっ」
「もがいても無駄ですよ、その縄は【裏】から仕入れた特殊な縄なんですから」
「……」
エルンは右手に魔力を込める、だが込められた魔力が弾ける。
「ッ!なんで…」
「それも無駄ですよ…貴方の魔力は今その縄によって弾かれています。ですが流石の魔力と言ったところでしょうか、その縄も長くは持たなそうですね。」
「なあ?もう殺さねェか?」
「まあ、色々聞きたいことはありますが…縄も長くは持たないですし、仕方ないですね。ここで殺してしまいましょうか」
「くそっ……」
「ドラーグ、あなたが殺って良いですよ。」
「じゃあ行くゼ…【ファイアナックル】!!!」
火属性の上位術くらいの威力だろうか、その魔力がドラーグの拳に込められる。もう終わりかと思ったその時
「【アイシクルブラスト】!!」「【ヘルファイアストーム】!」
「なにっ!この魔法は…誰だ!」
「まったく、魔界一イケメンの僕になにをさせるんだい?エルン・ノワール」
「ごめん!エルン!遅くなった!」
「来ると思ってたよ…。エリオット、そしてマーズ!」
エリオットとマーズの魔法は、ドラーグの攻撃を防ぐと共にエルンの縄をちぎっていた。
「……さあ、これからどうする?アルマ。ドラーグ君はどっか行っちゃったみたいだけど。」
「ただただ…助けてくれぇ!僕が悪かった!金ならいくらでも渡す!だから見逃してくれえ!!」
「色々聞きたいこのあるけど…もう時間ないし…仕方ない、ここで殺しちゃおうか」
「」
エルンの言葉にアルマは気絶する。この男が何を考えているか分からないが、気絶してるので仕方ない…
「そう言えば、エリオットなんでアルマ達の計画知ってたの?」
「ぼ、僕は全知全能の男だぞっ!知ってて当たり前じゃないか!む、むしろ知らなかったのかい?マーズくん」
「……ふーん、でコイツどうする?エルン」
「殺したら私たちが危なくなっちゃうし、とりあえず魔界選挙管理委員会に突き出そ。」
……翌日
「エルン!コレ見て…」
「……ッ!これは」
マーズがみせた新聞には【選挙不正者アルマ・レストフ尋問の際に自害】と記載されていた。
「ふーん…どうやら彼らには【裏】がいるようだね。」
「カイラさん!?」
「ごめんごめ〜ん、昨日の話もあって君たちの寮に来ちゃった。……エルン、今以上に覚悟して欲しい。今回の選挙は【闇】があるよそれも魔界だけの【闇】じゃない。」
「分かってる。私は魔王になるためにこの選挙に参加した。」
エルン達が昨日の話についで詳しく話していると、いきなり兵士がエルン達の元へ駆けつけてきた。
「団長!魔界視察兵の情報によると【勇者タクミ】が王国を出て、現在こちらに進行中とのこと!」
「何ッ!……」 「………!」 「勇者タクミってあの…」
もちろん驚いたのはカイラだけではない、その発言にはかつてその勇者に父を殺された、エルン。かつて勇者の攻撃が原因で王国兵がはびこり、弟を亡くしたマーズも例外ではない。
張り付いた空気の中カイラが口を開ける。
「並の勇者の進行なら驚かないんだけどね…彼は他とは【格】が違うからね…。とりあえず魔界近辺の厳重警戒を、それと調査に出た魔界兵に防衛命令出しとく!」
「はっ!」
カイラの発言で魔界兵は一瞬で姿を消した。
「………さあ、これからどうしよーか。」
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