第4話 嫌われ転生の勇者

俺は山田拓未24歳ニートだった男だ。

俺はある日、人生が辛くなってビルの屋上から飛び降りた。死んだ、と思ったら謎の空間にいた。ここは天国だろうか、どうやら女神が俺を異世界に送ってくれるらしい。【スキル】というものもついでに渡された。









〜サンドライト王国・王国城 玉座の間〜


「魔王を倒した伝説の勇者タクミよ。」


「はっ、なんの御用でしょうか。」





「近頃魔界では、次の魔王が決まるらしい。

そこでだ…今度は魔王候補達を終わらせてくれぬか?報酬は…そうだな……我ももう長くは生きれない…そなたには次の王位継承権を与えよう。」


「はっ、ありがたき幸せ」


「死力を尽くせ、勇者タクミよ。」


「仰せの通りに。ノワール王」







俺の名はタクミ、女神から貰った【スキル】で勇者になった者の一人だ。

この王国では王家代々受け継がれてきた「転生者召喚魔法」と言うもので外界から【スキル】を受け取った転生者を召喚し、「勇者」として国の力をたくわえている。



「きゃ〜タクミさまぁ〜!!こっち向いて〜〜!」

「きゃー!!!こっち見た!タクミ様ぁー!!」








俺はこの「スキル」とかつての仲間たちのお陰で、

魔王ダーク・ノワールを倒し今の富、名声を手に入れた。もう戦いなんてこりごりだが、王の命令だ、しょうがない。







「さーて、仲間でも集めようかな!」








〜サンドライト王国・城下町酒場〜


ここは勇者達や冒険者達が集まる有名な酒場だ。

ここでは、庶民からの依頼の受付や旅の仲間を作る、いわば「集会所」的な役割を果たしている。



ガヤガヤガヤガヤ









「誰か俺と魔王候補達を倒してくれる方居ますかー?」


「……」「チッ…」「……」 「勝手にやってろよ…」「運がいいだけのやつが…」


「………」









そう、俺は嫌われている。なぜならこの【スキル】のせいで魔王を倒したからだ。魔王を倒した者は、一生何もしなくていいくらいの莫大な賞金だけでなく、貴族と変わらないくらいの土地や家が王から譲与される。

正直依頼を受けたり旅をする必要が無いから、「イヤミ」を言いに来てるのと変わらないのだろう。










「相変わらず嫌われてますね(笑)また、旅にでも行くんですか?」


いつも俺と話す店員が茶化す。





「まあ、ちょっとね…お酒あるよね?」


「ええ、もちろん。そういえば昔のお仲間はどうされたんですか?」


「あー、アイツら死んだよ」


「あ……ごめんなさい」








【死んだ】というのは嘘だ。


あいつらは魔王を倒した後、王から贈られる、禁忌の魔導書を使い、元の世界に帰ったのだろう。俺を残して






「…………ごちそうさま。お代ここに置いとくよ」


「あ!ありがとうございましたー!」








…………

「仲間どうしようかなー…」



正直自分1人で魔界に行くのは無理だろう。これからの事を少し不安に思いつつ、街を歩いていると、









「アンタが勇者タクミね!アタシは魔法使いクレアよ!さあ勇者、アタシを仲間に入れなさい!」


「…………」


「ちょっとー!何で無視すんのよ!このアタシが声かけてるのよ!」





変なのに絡まれた。見た目からして年齢は18くらいだろうか、女性にしては少し身長は高く顔は綺麗で胸はかなり大きい。長めの茶髪がなびいている







「あのなあ…」






「何?ついに私を認めたの?しょーがないわね…アンタがどうしてもって言うなら、仲間になってあげていいわよ!」


「俺は旅を遊びでやってんじゃないんだ、君みたいなお子様は魔物から逃げるのが精一杯だろ?」


「……っ!?」








正直こんな女の子を危険な旅に連れていかせたくない。旅なんか行かずともこの見た目なら王国内でやって行けるだろう。



「もう、アンタなんか知らないっ!」








「………………」






少女はどこかへ走っていった。…魔法使いと言ってたくらいだ、多分大丈夫だろう。


〜闇夜の森 内部〜


「とりあえずここで食料調達するか…」








ここは闇夜の森、永遠に陽の光が当たらないくらい樹林が生い茂っているため、そう名付けられた。

ここには美味な果実や肉が手に入るため食料調達にはうってつけだ。








「…よし、はじめ┈」







「きゃあああああ!!」



…どこかで悲鳴が聞こえた。ここは魔物が生息しているため、勇者や冒険者達以外は近づかないだろう。気がついたら足を動かしていた。









…………

「た、助けて…」



何でこんなところに入ったのだろう。この魔物たちには私の火属性魔法が全く効いていない。

魔物の唸るような声とヨダレが垂れる音が聞こえる。







「あ……あ…あ」


声が出なかった。そんな弱った自分に気づいたのだろうか、魔物たちは一斉に襲いかかってきた、その時







「閃光」








1人の男が一瞬の速度で魔物たちを斬り伏せた。

何が起こったかわからない状況で、その男は手を伸ばし言う







「あー、クレアだっけ?大丈夫か、怪我は?」


「う、うん大丈夫。」


「あとな、ここの魔物たち火属性耐性持ってるからあんま意味ねーぞ」


「はあ!?それを先にいいなさいよ!」


「知るかよ!お前が勝手なことするからだろ!…………あと俺の仲間になるか?」





「!!…ホントに…いいの?」


「まあな、お前の魔力そこそこあるの今分かったし」





「……ま、まあね!魔物はアタシに任せなさい!」


「関係ないけどさ、…スカートめくれてるぞ」







「……ヘルファイア」







「おい!ちょっと待てよ!俺に魔法打つんじゃなえぇぇ!」


凸凹コンビのの冒険が今始まる!



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