第3話 魔力勝負<マジックバトル>
〜魔界議事堂選挙受付室〜
「おや、カイラ殿本日はどんな御用で」
「いきなりだけどこの子を選挙に出して欲しい。」
「ほう…」
何やらカイラと髭の生えた大柄な魔界人が話している。政府の役人だろうか、どうやら私のことを話しているらしい。
「この子を本当に推薦するのですか?カイラ殿。ワタクシはこの子に素質を感じませんぞ。どことなく覇気がないというか、それにこの歳で選挙に参加するとはまだ、早すぎやしませんか?」
「勇者を初級魔法で殺ったと言ったら?しかも2発で」
「勇者を!?初級魔法で!?しかも2発!?
……ははははは!カイラ殿あなたは面白い冗談をつきますなあ!あなたがそういう冗談を言うとは珍しい!」
「そこまで言うのならエルンとやってみる?【魔力勝負】<マジックバトル>」
「ははは!全然いいですとも!一応ワタクシ魔界氷属性魔法コンテストで4位を取っているので、舐めてもらったら困りますな!」
「分かった…エルン!こっち来て!……いきなりだけどあの人と【魔力勝負】できる?氷属性の」
「いいよ。氷属性は苦手だけど」
カイラに呼ばれる。どうやらこの男と「魔力勝負」をすることになったようだ。魔力勝負(マジックバトル)とは、魔力によって作られた仮想空間で、決められた属性の一対一の魔法勝負する。
というゲームだ。
「それじゃ、始めるよ。」
カイラが指をパチン、と鳴らすと空間が構築される。構築された空間は無人の街のようだ。
今回はここで戦うらしい。
「それではいきますぞ!エルン殿!【アイシクルブラスト】!!」
【アイシクルブラスト】氷属性の上位術だ。
男の周りから展開された巨大な氷柱が自分を襲う。氷柱を迎撃するため魔法を唱える。
「アイス」
「アイスですと!あの初級術の!?エルン殿、それはワタクシをバカに━━」
男が言葉を続けようとしたその刹那、エルンの頭上には大きな城くらいだろうか、村ひとつ潰れそうな巨大な氷塊が生成されていた。
………
「はっ!?ワタクシは何を!?カ、カイラ殿!?魔力勝負は!?」
「アハハハハハハ!役人さん!君、キミッ、ブブッ」
「なぜ笑っておられる!?そ、そういえばエルン殿は?」
「役人さん、あなたはエルンに負けたよ。巨大なひょ、氷塊をみてっ、おしっこ、おしっこ漏らしながら気絶してwアハハハハハハハハハ!」
「!?……ワタクシが…あの少女に…」
「……でいいよね?エルンの選挙参加。」
「もちろんですとも。あの子は必ず魔王になるでしょうな」
「だってよ、エルン」
「……やろ。選挙活動」
これからエルンの魔王譚が幕を開ける!
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