第35話 妹さん
とにかく採用されたのは有難い。これから俺のバイト生活の始まりだ。
「ありがとうございます。それでいつから来ればいいですか?」
「明日から来れますか?」
「はい」
「じゃあ明日の朝8時に来て下さい。お店の入り口は閉まっているので裏口から入ってきて下さいね。はい、これが裏口の鍵です」
「わかりました」
タヌキ屋の開店時間は午前10時。8時に来いと言う事は開店準備からやるんだろう。
どんな事をするのかちょっとワクワクする。
「ところで、ずっと気になっていたんだけど、その赤髪の女の子は……」
「俺の家で一緒に住んでいるフレアって言います」
「一緒に住んでいる!? そ、そそそ、それは一体どういう関係なんですか!? もしかして結婚してるとか!?」
「そんなんじゃないですって! えーっと……まぁ俺はフレアのお世話係みたいなもんで……」
何とも上手く説明が出来ない。勝手についてきてそこから一緒に住んでいるとか言ってもややこしくなるだけ。
「一緒に住んでいてお世話係みたいなもの……あっ! 妹さんですね!」
「え、あ……いや、妹では……」
「妹なら妹って早く言って下さいよ〜。ちょっと焦ったじゃないですか〜」
「はあ……」
もう妹って事でいいや。この人に余計な事を言うと面倒臭くなるだけだ。
「話は終わったようじゃな。バイトも決まった事じゃしそろそろ帰ろうか、小僧」
キツネさんの言葉で店内にある時計をみるともう午後5時半だった。
「そうですね。そろそろ夜飯の時間なんで」
「ガウガウ!」
夜飯と耳にしてフレアは腹が減っているのか俺の服の裾を掴んで引っ張ってくる。それもそうか、植林で昼を食べ損ねていたもんなぁ。
「では、ワシらは帰る。またな」
「じゃ、また明日来てくださいね!」
「はい、失礼します」
「ガウガウ!」
タヌキ屋を出て暫く歩き途中でキツネさんと別れた俺とフレアは家に帰り夜飯や風呂を済ませると疲れもあってかなり早い時間に眠りについた。
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